大学設置審査を厳格化 下村文科相「第三者がチェック」『日本経済新聞』2012年12月28日付

『日本経済新聞』2012年12月28日付

大学設置審査を厳格化 下村文科相「第三者がチェック」

 下村博文文部科学相は27日未明の記者会見で、大学の設置認可制度について「既に800近い大学があり、全入時代を迎えている。経営が成り立つのか、地域性やニーズを第三者の目できちんとチェックする必要がある」と述べ、審査を厳格化する考えを示した。

 設置認可のあり方を巡り、田中真紀子前文科相は有識者検討会を設けた。下村氏は「大学は国力そのもので質と量の両方を充実する。検討会の議論を聞いた上で認可後の経営のフォローも強化していく」と話した。

 高校授業料無償化制度は2014年度以降に所得制限を導入すると表明。自民党では年収700万円とする案が出ており、下村氏は「公私間格差や経済の状況、低所得世帯の支援策を踏まえて総合判断する」とした。

 いじめ問題への対応は「出席停止制度の活用など、今すぐできる対策を断行する」とした上で、総合対策を盛り込んだいじめ防止対策基本法の策定に取り組む考えを示した。自民党が公約に掲げた幼児教育の無償化は「厚生労働省などと協議し、できるだけ早く実現したい」とした。

 教科書検定基準の見直しについては「(愛国心の育成などを明記した)改正教育基本法が施行されたのに教科書があまり変わっていないという問題意識がある」と述べ、現状や課題を整理した上で判断するとした。道徳教育の教科化も「中央教育審議会で改めて審議したい」と意欲を見せた。

 下村氏は27日午前、文部科学省で田中氏から引き継ぎを受けた。田中氏は、福島第1原発事故の避難住民を訪れたことに触れ「避難者は国の支援を求めているが世代ごとに要望が違う。具体的にできることにすぐ着手することが大事」と助言し、さばさばした表情で引き継ぎ書類に署名した。

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