京都大:「秋入学」見送りへ 松本学長「入試改革が先」『毎日新聞』2012年11月30日付

『毎日新聞』2012年11月30日付

京都大:「秋入学」見送りへ 松本学長「入試改革が先」

 東京大が提唱する「秋入学」について、京都大の松本紘(ひろし)学長は29日、毎日新聞の取材に対し、「先に入試改革を行う。入試改革にめどが立たない段階で秋入学をやる気はない」と述べ、事実上、見送る方針を明らかにした。東大は5年後の実現を目指しているが、賛否を決めかねている大学10+件も多い。京大が同調しないことで、各大学の判断にも影響を与えそうだ。

 大学10+件の国際化を目的とする「秋入学」は、東大が昨年から検討を始め、今年1月、5年後をめどに全学部生を秋入学に移行する方針を打ち出した。九州大など一部の国立大は賛同しているが、否定的な考え方も根強い。

 松本学長は6月、入試科目以外の勉強や課外活動なども対象に独自の方法で学習意欲を評価する「特色入試」を、早ければ16年度入試で一部導入する方針を表明。また、京大は来年度、国際社会で活躍するリーダーを育成するための全寮制大学10+件院を設置する。

 入試改革の理由として松本学長は「入試が最優先になり、入学後に進路を見失う学生が多い。高校時代に幅広い勉強をした学生を、大学でさらに伸ばすことが大事」と述べ、高校教育との連携を強化する姿勢を示した。

 そのうえで「秋入学には大変なエネルギーと時間がかかる。入試を変えることによって日本人の考え方が変わる効果の方が大きいと考えている」と述べた。【五十嵐和大】

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