大学設置認可基準、年内に提言 有識者会議が初会合『日本経済新聞』2012年11月22日付

『日本経済新聞』2012年11月22日付

大学設置認可基準、年内に提言 有識者会議が初会合

 文部科学省は21日、大学設置認可のあり方を見直すための有識者検討会議(座長=浦野光人ニチレイ会長)の初会合を開いた。審査を厳格化するよう求める声のほか、審査基準に地域貢献度や社会人学生の受け入れを増やす取り組みなどを加えることを求める意見が出た。年内に提言をまとめ、早ければ2014年度の開学を目指す大学から新たな審査基準を適用する方針だ。

 検討会は新たな審査基準や体制、スケジュールなどを議論する。田中真紀子文科相は初会合で「設置認可の問題に取り組みたいと前から考えていた。少子化の中でどうあるべきか、直言をいただきたい」と述べた。

 委員からは「地域への貢献をどれだけ考えているかを審査基準に加え、審査する側にも地域のニーズをよく知る人を入れるべきだ」との提案が出た。社会人学生の受け入れを増やす取り組みや、財務面の情報公開の徹底を条件にするよう求める意見も相次いだ。

 大半の委員は、設置認可を厳格化するだけでは大学教育の質は向上しないとして、認可後のチェック体制や経営が悪化した大学をどうフォローするかも含めた総合的な対策が必要と指摘した。

 委員には、認可審査を担ってきた大学設置・学校法人審議会の佐藤東洋士会長も入った。田中文科相が審査の甘さなどを批判した経緯も踏まえ、佐藤氏が「学生確保の見通しや社会での卒業生のニーズは大学側に根拠を示させ、議論している。大臣には日本の高等教育がどこを目指すべきかということを考えてほしい」と“反論”する場面もあった。

 会合後、浦野座長は記者団に、今年末に提言を出した時点で検討会は終了すると説明。具体的な審査基準などを示すことは難しいが、方向性は示すとした。14年開学を目指す大学の申請期限である来年3月末に間に合わせるためだが、短期間で十分な議論ができるか懸念する声も出ている。

 検討会議は、文科相が設置認可を厳格化するとして来春開学予定の3大学をいったん不認可にした問題を受け、設置された。

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