「教育院」来年4月にも設立 京大、教養教育を抜本再編『京都新聞』2012年11月13日付

『京都新聞』2012年11月13日付

「教育院」来年4月にも設立 京大、教養教育を抜本再編

 京都大は12日までに、教養教育を一元的に担う新組織「国際高等教育院」(仮称)を来年4月にも設立する方針を決めた。大学改革の柱としての教養教育強化が狙い。教養部廃止以来、20年ぶりの抜本再編をめざすが、教員からは「理念も理想もない大学の専門学校化だ」などと反対の動きも強まっている。

 京大は、1~2年の一般教養教育を担った教養部を1993年3月に廃止。同時期に開設した総合人間学部と大学院人間・環境学研究科と各学部が連携し、2003年からは研究科から独立した高等教育研究開発推進機構が教養教育の企画・立案を担っている。

 しかし、大学院の教員を中心に講義を実施する体制は、教員によっては研究活動や専門教育を重視し教養教育がおろそかになるとの指摘もあった。

 松本紘総長を委員長とする検討委員会が今年7月にまとめた「基本方針」などによると、人間・環境学研究科などの教員を教育院に異動、企画から実施まで一元的に実施する。過度な細分化を避けて開講する科目を精査し、「学力低下」も踏まえて基礎的科目を重視する。

 しかし、教員から▽研究科から教育院への一方的な異動▽教育内容について全学的な討議がない▽教授会で決める体制ではなく、学部自治が保障されていない-などと反対の声が出ている。人間・環境学研究科教授会は9月、合意なく計画を進めることに反対する決議を行った。教授の一人は「最先端の研究活動があるからこそ、深い教養教育ができる。教育院構想は研究と教育の一体性が失われ、教育レベルが低下する恐れがある」と話す。

 林信夫・高等教育研究開発推進機構長は「議論は継続中で、決定事項はない」としている。

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