『中国新聞』2012年10月26日付
大学改築ラッシュ 中国地方
中国地方の各大学が相次いで、校舎の建て替えや改修工事を進めている。少子化で大学経営が厳しさを増す中での積極投資の背景には、グローバル化や産学連携など特色のある教育を実践し、学生確保につなげる思惑も強く働いている。
広島修道大(広島市安佐南区)は2015年度までに総額55億円を投じる。校舎2棟を解体、跡地に国際交流や地域連携の拠点となる校舎など計2棟を建てる。
「国際社会で活躍できる人材を育てたい」と市川太一学長。昨年度172人だった海外への留学生の倍増を目指す。国際交流の校舎はキャンパスの中心に据え、留学相談窓口の態勢を強化する。
本年度の全国の18歳人口は119万人で、この20年で約4割減った。日本私立学校振興・共済事業団(東京)の調べでは、中国地方36私大の今春の入学定員の充足率は92・92%で、前年度に比べ3・73ポイントダウン。大学は「学生を選ぶ側」から「学生に選ばれる側」の色合いが濃くなってきた。
福山大は来年8月までに、工学部の校舎3棟を解体。跡地に1棟を建設する。棟内には4学科の学生が共同でロボットや電気自動車製作に取り組む実験室を設ける。
国立大も積極的に動いている。山口大は来年度までに、吉田キャンパス(山口市)の図書館を改修、増築する。常盤キャンパス(宇部市)の総合研究棟2号館も改修し、実験環境を整える。
鳥取大も14年度までに医学部の臨床研究棟を改修する。他にも、島根大が講義棟や図書館など3施設を改修。岡山大も医歯薬学総合研究科の研究棟の新築を予定している。