『朝日新聞』千葉版2012年10月23日付
千葉大、秋入学に慎重論 入学時期検討委員会中間報告
【渡辺延志】千葉大の入学時期検討委員会(委員長・山本恵司理事)の中間報告がまとまった。秋入学制度を新設する方針を打ち出したが、当初は帰国子女や留学生などに限定するとしている。秋入学への全面移行には、受験生や保護者の負担が大きいことなどを理由として慎重な姿勢を示している。
秋入学への全面移行を東京大が提唱したのを受け2月から検討していた。欧米や中国など主要国では秋入学が主流なので、国際化を進めるにはそれにあわせることが必要だとの主張だ。
これに対して千葉大の中間報告は「学部に秋入学を導入する」との方向を打ち出したが、当初は対象を外国人、帰国子女などに限るとしている。
来年の秋から、実現可能ないくつかの学部でスタートさせたい方針だ。現行の春入学の定数は減らさないことが前提で、定数の運用枠を利用して入学させるもので、130人程度の受け入れが可能だという。
秋入学への全面移行については「社会の様々な分野に及ぼす影響も大きいことから、慎重な議論と関係者の理解が必要となる」との見解をまとめた。
東京大は、入試は春に行い、秋の入学までの半年を留学や社会体験などに活用することを提案している。
それに対して千葉大は、大学を出るまで実質的に4年半かかることになるとして経済負担を重視。中間報告は「学生の在学期間の実質的長期化は避ける方向が望ましい。入学から卒業までの期間が現行以上になる場合は、それに伴う経済的負担をどのように解決するかを最も考えなければいけない」と指摘している。全面的に秋入学に移行するには、小学校から高校までを一緒に変えることが必要だろうとの意見が強かったという。
千葉大ならではの特色を出すために、飛び入学と組み合わせる可能性を今後検討する方針を示した。高校を卒業しなくても入学できる飛び入学は国立大では千葉大だけの制度。
高校3年生の秋に入学することに道を開くもので、新たな選択肢を受験生に提示することになる。成績が特に優秀な場合には、在学3年半で卒業することを可能とすることも検討する方針だという。
まとまった中間報告を各学部などで検討し、その意見も聞いて、今年度中に最終報告をまとめる方針だ。
山本委員長は「秋入学の長所と短所を様々な視点から検討し、秋にも入学する制度を設けることにしたが、全面的な秋入学は現時点では学生や保護者の負担が大きいと考える。千葉大らしい制度を考えてゆきたい。国際化は進めなくてはいけないが、秋入学にしなければ、できないものではない」と語った。