総合医、地域の要に育成『朝日新聞』宮崎版2012年9月29日付

『朝日新聞』宮崎版2012年9月29日付

総合医、地域の要に育成

 幅広い科目を診療し、必要に応じて専門医につなぐ「総合医」の本格的な育成に、宮崎大医学部と県が乗り出す。来春、県立日南病院に臨床研修センターを設ける協定の締結式が28日、県庁であった。県内で深刻な山間地の医師不足や診療科の偏りの解消をめざす。

 臓器や疾病ごとに診療する専門医に対し、総合医は初期の体の不調に対応して全般的に診るため、家庭医やかかりつけ医とも呼ばれる。予防医療や在宅医療のリーダー役も担う「地域医療の要」と期待されている。

 県医療薬務課によると、県内の人口10万人あたり医師数(10年12月現在)は233・7人。全国平均の230・4人をわずかに上回るが、内実は最大の宮崎市・東諸県地域で332・9人、最小の西都・児湯地域で126・2人という偏在ぶりだ。特に過疎地で地域に根ざす総合医の確保は急務。センター整備は、県地域医療再生基金を活用して進められた。

 新設される「地域総合医育成サテライトセンター」は、大学付属病院地域総合医育成センターの実践的な研修の場として、来年4月に始動。指導医を3人程度置き、卒後3~4年の若手医師を年3~5人受け入れる。地域の医療機関へ派遣する機会も設ける予定で、研修後は市町村立病院などに、県が調整して配置する。

 総合医には、内科、外科の枠を超えた初診での診察力が求められる。大学付属病院では他院から紹介される患者が多く、初診は2割ほど。一方、日南病院は県南地域の中核病院ながら、初診が6割。救急外来も多く、臨床研修により適した病院として選ばれた。

 新センターで指導医を務める松田俊太郎医師は「専門医療が最先端なら、総合医の現場は『最前線』。各診療科、地域の医療機関とも協力し、必要な知識をまんべんなく学ぶ環境を整えたい」と意気込む。(谷川季実子)

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