県立大の素案、県議会から反発・疑問の声 学科内容や県の進め方に『信濃毎日新聞』2012年9月21日付

『信濃毎日新聞』2012年9月21日付

県立大の素案、県議会から反発・疑問の声 学科内容や県の進め方に

 県会6会派でつくる「県短大の4年制化に向けた懇談会」は20日、県庁で開き、県側が県短大(長野市)を四年制化して新設する県立大学の基本構想素案を説明した。「総合マネジメント」(ビジネス経営、公共経営の2課程)、「グローバルこども教育」の2学科を設ける案や、県の進め方に、反発や疑問の声が続出。新県立大学設置に向けた予算案などを審議する県会側の厳しい姿勢が浮き彫りになった。

 懇談会は石田治一郎氏(自民党、長野市)が会長を務め、県議12人で構成。この日は風間辰一氏(自民党、長野市)が、県短大同窓会「六鈴会」などから設置要望が出ていた管理栄養士養成課程が外れた点を疑問視。宮沢敏文氏(県民クラブ・公明、北安曇郡)は「ここ(新県立大学)でビジネス経営や公共経営を学ぶ意味はない」と批判した。

 県側の素案は、英語に重点を置いた教育内容など秋田県の公立大学法人国際教養大(秋田市)と重なる部分が多い。ただ、同大の卒業生の多くは、県外に就職しており、竹内久幸氏(改革・新風、長野市)は「卒業生が外に出て行くような大学でいいのか」と指摘。素案の段階で県民意見を募集する県の進め方について「早すぎる」との反発もあった。

 こうした状況に石坂千穂氏(共産党、長野市)は、県会内に特別委員会を設置することなどを念頭に、「議会の意見が反映されないなら、『違う手段』を考えざるを得ない」と指摘。倉田竜彦副会長(改革・新風、長野市)も終了後、「議会の意見を提起していく段階にいよいよ来たと思う」と述べた。

 一方、県立大学設立準備委員会の委員長でもある和田恭良副知事は懇談会後に会見。「あくまでも素案であり、固まっていない。いろいろな意見をもらい、検討していく」とした。

 県側は素案で、原則として新入生全員に1年間、海外からの留学生とともに過ごす寮生活を義務付けることも提示。入試関係では、高校生の社会活動や高校生活を重視したアドミッション・オフィス(AO)入試の実施、入学定員に一定の「県民枠」を設けること、秋入学の一部導入なども挙げた。開学時期については、あらためて「未定」とした。

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