民主党大学改革ワーキングチーム報告書 平成24年7月20日

民主党大学改革ワーキングチーム報告書

平成24年7月20日

1.はじめに

天然資源の乏しい我が国にあっては、「人」こそが最大の資源であり、これからも人材育成が成長を支える最大のテーマである。とりわけ、人口減少の下で、我が国が持続可能な発展を続けていくためには、その得意分野で世界をリードしつつ、社会全体の公正を確保する「日本型成熟社会モデル」の構築を目指す必要がある。具体的には、国内外の需要を掘り起こすイノベーション(技術やアイディアの革新)と我が国の誇る技術やシステムの海外展開で持続的に成長しつつ、人がしっかりと人をケアする公正な社会を実現することであり、そのためには、一部の優秀な層の形成だけではなく幅広い中間層を形成するよう、高等教育機関が質と量を確保した人材育成を進めることが極めて重要である。しかし、諸外国がこのような観点から人材育成への投資を劇的に増やしている中、日本社会がそれを怠ってきたことが「失われた20年」の背景になっている。

民主党政権は政権交代以来、「コンクリートから人へ」の理念のもと、実際に予算構造を大きく変革してきた。平成24年度の教育予算は、政権交代前の平成21年度から9%増の4兆2737億円へとこれまでの削減傾向からV字回復するとともに、文部科学省予算が国土交通省予算を上回るなど教育投資を拡充している。その中では、大学関係主要経費の回復による大学や学校の教育の質的な充実とともに、高校無償化や希望者全員への大学等奨学金の実現、大学授業料減免の充実など学習権の確立のための学習者支援も重視している。

その結果、平成24年4月現在の雇用者数は平成21年9月比で、医療・福祉で78万人、教育・学習支援で12万人増加するとともに、失業率も低下している(5.3%(平成21年9月)→4.1%(平成23年9月))。

このように今、成熟社会・知識社会において、我が国は、「知的創造立国」の時代、高等教育機関や学校が社会を牽引する時代になっている。民主党大学改革ワーキングチームは、このようなこれまでの政権交代の成果を踏まえ、さらに「頼れる(伸ばす)学修大学(ラーニングユニバーシティ)、「強い研究大学(リサーチユニバーシティ)」を形成するための次のステップに向けた戦略について、本年2月から9回にわたって審議を行った。その結果、今直面する課題への対応だけではなく、これから5年から10年先も見通した上で、成熟社会である我が国を高等教育機関がリードするための国家戦略としての大学改革を中心に以下のとおり取りまとめた。

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