『朝日新聞』2012年8月21日付
法曹養成見直し、有識者会議の設置を閣議決定
法科大学院の志願者減少や弁護士の就職難で混迷している法曹養成制度を大幅に見直すため、政府は21日、有識者らによる「法曹養成制度検討会議」(座長=佐々木毅学習院大教授)の設置を閣議決定した。今月末にも議論を始め、法曹人口の目標数や法科大学院の統廃合などについて、1年以内に結論をまとめる。
滝実法相はこの日の閣議後の記者会見で「幅広い意見で、みんなが納得できる結論が導かれればと思っている」と期待を語った。
現行制度の見直しをめぐっては、法務、文部科学両省が中心となって昨年5月から、裁判官、検察官、弁護士の法曹三者の代表や有識者でつくる「法曹の養成に関するフォーラム」で検討してきた。だが、結論をどう生かすかが規定されていなかったため、フォーラムのメンバーを増員して検討結果を引き継ぐ形で、権限と責任を明確にした検討会議を新設することにした。事務局は法務省に置き、結論を踏まえて政府が行程表を作成し、改善策を取る。
法曹人口の目標を「5万人規模」とした司法制度改革審議会の意見書(2001年)を受けて、政府は10年ごろまでに司法試験合格者を年間3千人にする目標を立て、養成機関として04年に法科大学院を新設した。全国で74校が開校したが、修了者の7~8割と想定していた合格率は2割台に低迷。合格者は2千人台で頭打ちとなり、3千人の目標は達成できなかった。
法科大学院の志願者は急減し、撤退を決めた法科大学院はすでに5校に。一方で、弁護士が大幅に増えたため、試験に合格しても就職できないケースが深刻化している。
総務省は今年4月、年間3千人の司法試験合格者の目標は多すぎるとして見直しを勧告。日本弁護士連合会なども法科大学院の定員や合格者の削減を求めている。(田村剛)