東京エレクトロン、東北大に産学連携拠点 磁気メモリー開発『河北新報』2012年8月25日付

『河北新報』2012年8月25日付

東京エレクトロン、東北大に産学連携拠点 磁気メモリー開発

 半導体製造装置大手の東京エレクトロン(東京)は、東北大が整備している青葉山新キャンパス(仙台市青葉区)に研究開発棟を寄付し、共同で次世代磁気メモリーの実用化に向けた技術開発を進める。東北大が24日、発表した。同キャンパスで、民間拠出による産学連携拠点の設置が決まったのは初めて。

 新設されるのは「国際産学連携集積エレクトロニクス研究開発センター(仮称)」で、鉄骨3階で延べ床面積約6000平方メートル。総工費約22億円で東京エレクトロンが建設し、東北大に寄付する。2013年春に完成予定。28日に現地で安全祈願祭が行われる。

 研究対象は次世代磁気メモリー「STT-MRAM」。電源を切っても記憶を保持し、情報を処理する時だけ電力を消費する。スマートフォン(多機能携帯電話)などの省エネ化につながるため、国内外で開発競争が激しさを増している。

 同分野の研究は、大学院工学研究科の遠藤哲郎教授(電気エネルギーシステム)が世界をリードする。開発には遠藤研究室を中心に東京エレクトロンをはじめ、電子機器メーカー10社程度が参加。東京エレクトロン宮城(宮城県大和町)で18年度の本格量産を目指す。

 東京エレクトロンの保坂重敏常務は「次世代メモリーの開発は、企業単独では難しい。大学の技術を生かして実用化につなげたい」と話している。

◎企業立地促進助成金増額へ 仙台市、東北大と再締結

 仙台市は、東北大が整備を進めている青葉山新キャンパス(青葉区)への企業の研究開発施設の誘致促進に向け、市独自の企業立地促進助成金を上積みする方針を固めた。年内にも東北大と協定を再締結する。

 2008年に結んだ協定では、進出した研究開発施設の固定資産税相当額を5年間、助成することを決めた。新たな協定には、助成金の大幅増額のほか、東日本大震災の復興特区法に基づく「民間投資促進特区」を活用することも盛り込む。

 市は支援策の強化により、地域産業の活性化につなげたい考え。同キャンパスに設置が決まった「国際産学連携集積エレクトロニクス研究開発センター(仮称)」に加え、世界レベルの研究開発施設の集積促進も目指す。

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