新薬臨床試験を円滑に 東北大と民間が協定『河北新報』2012年8月17日付

『河北新報』2012年8月17日付

新薬臨床試験を円滑に 東北大と民間が協定

 東北大病院は東京の臨床試験専門施設・関野臨床薬理クリニックと協定を結び、新薬などの開発に連携して取り組む。医薬品の臨床試験で国立大が民間組織と産学連携するのは、全国初の試み。日本では国内外の新薬を患者に使うまでに時間がかかる「ドラッグラグ」の問題が指摘されており、この改善が期待される。

 新薬などの承認には「少人数の健康成人」「少人数の患者」「多数の患者」の3段階の臨床試験を行う必要がある。これまで東北大は、患者を対象にする臨床試験のみを行ってきた。

 関野臨床薬理クリニックは、臨床試験のうち「少人数の健康成人」を対象に臨床試験を行う専門機関。新薬に応じて健康なボランティアを募り、薬の安全性と体内での変化、排せつ状態の確認を担う。

 協定により、3段階の臨床試験を一貫して行うことが可能になった。東北大病院に臨床試験推進センターを設置。クリニックと連携し、臨床試験を進めるとともに、研究者と製薬会社とをつなぎ役として、大学発の新薬開発を後押しする。

 日本では、第1段階と第2段階以降の試験が円滑に行われていないことがドラッグラグの一因とされてきた。国立大の中には、自前で第1段階を行おうとする動きもあるが、多大な人材と時間が必要なため、実現には至っていない。

 下瀬川徹病院長は「一貫した体制で臨床試験を円滑に進め、国内の新薬開発に寄与したい」と話している。

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