パナソニック、阪大に「共創型」研究所-大学の幅広い提案募る〈BCN〉『朝日新聞』2012年8月8日付

『朝日新聞』2012年8月8日付

パナソニック、阪大に「共創型」研究所-大学の幅広い提案募る〈BCN〉 

 パナソニックは大阪大学に材料デバイス基盤協働研究所を設立し、近く本格稼働する。企業側から課題を持ちかける従来の産学連携手法と異なり、大学側との開かれた議論を通じて研究テーマを絞り込む「共創型」とする。液晶や半導体、電池などの既存製品で韓国や中国メーカーの追い上げが厳しさを増す中、大学の持つ幅広い学術領域の先進的な研究インフラやそれを推進する研究人材との交流を通じて、社会に変革をもたらす萌芽(ほうが)的なテーマを立案、推進する。

 パナソニックは産学連携で年600件弱のテーマを研究しているが、共創型は初という。大阪大学吹田キャンパス(大阪府吹田市)内に研究所を設立。研究所長は瀬恒謙太郎大阪大学大学院工学研究科教授、副研究所長は上野山雄パナソニック役員。ほかに大阪大学から兼任教員7人と特任教授2人が、パナソニック側から招へい研究員7人が参画する。

 期間は3年。テーマの一例は「エネルギーハーベスティング」。生活環境に存在する振動や光、熱、電波などのあらゆるエネルギーを効率良く収集、蓄積する技術で、その中の「スーパーエネルギーストレージ」は、二次電池並みのエネルギー容量を備え、コンデンサーに匹敵する高速充放電と長寿命化の実現を目指している。将来、充電しなくても済む携帯電話なども視野に入る。

 既存技術の延長線ではなく、これまでは不可能と思われていた課題を解決し「非連続な技術革新」を目指す。議論は一方通行にならず、大学側からの幅広い提案を募る。

 パナソニックは10月始動の新本社体制を見据え、本社R&D部門も「デバイスソリューション」などの新規事業創出に注力する体制に改める。今回の産学連携スキームも、こうした考え方に沿った形となる。

 パナソニックと大阪大学は2003年12月に連携推進に関する協定書を締結して以来、ディスプレー材料や半導体などの共同研究講座を設置するなど連携を深めてきた。

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