全労連談話 : 労働契約法改正法案の拙速な衆院採決に抗議し、参議院段階での徹底した審議と実効ある見直し修正を強く求める
有期法案(労働契約法改正法律案)は本日・26日午後の衆議院本会議で、民主、自民、公明、生活、みんななどの賛成多数で可決され、参議院に送られた。
同法案は昨日、衆議院厚生労働委員会で審議入りしたが、わずか3時間余の質疑で採決が強行された。しかも、参議院では同時並行で一体改悪・特別委員会が開催されていたため、大臣等が中座するなど不正常ななかでの審議となった。雇用問題の中核に位置する重要法案でありながら公聴会すらおこなわず、拙速に採決が強行されたことは、議会制民主主義のルールにもとる暴挙であり、全労連は強く抗議する。
政府・与党は従来、同法案を「雇用問題の本丸」としていたにもかかわらず、このようなぞんざいな扱いをしたのである。現政権与党がいかに働く者、生活者に冷淡かを示すものであって、厳しく批判されねばならない。
同法案については、有期労働契約を強いられている多くの当事者や労組・法律家など広範な団体から様々な問題点が指摘されてきたが、昨日のわずか半日の審議を通じても、その指摘・懸念の正しさが浮き彫りになった。すなわち、5年直前での雇止めの大量発生や不更新条項への有効な防止策がないこと、また、無期労働契約に転換の場合も、「現に締結している有期労働契約の内容である労働条件と同一」と規定されたことによる格差の固定化(同一の業務に従事しながら労働条件の劣る新たな“準社員”の発生)などである。これでは、有期労働に対する実効ある規制とは言えないのであって、無期労働契約への転換がすすむと考えることはできない。
参議院段階においては十分な審議時間を確保し、当事者からのヒヤリングをはじめとして、問題点の議論、実態論議を深めるべきである。そして、実効ある規制実現のため、大幅な見直しをおこなうよう強く求める。
野田民主党政権の悪政、公約破りに対して今、労働者・市民の怒りが沸騰し、諸行動への参加と連帯が大きく発展してきている。全労連はそうした広範な人々との共同をいっそう強化し、実効ある有期労働規制の実現、法案修正のため、いっそう奮闘する決意である。
2012年7月26日
全国労働組合総連合
事務局長 小田川 義和