東北大がILC推進協 岩手県の誘致後押し『河北新報』2012年7月10日付

『河北新報』2012年7月10日付

東北大がILC推進協 岩手県の誘致後押し

 東北大は、岩手県が県南部の北上山地に誘致を目指す超大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の実現を後押しするため、「東北大ILC推進協議会」を設置した。
 協議会は、委員長の伊藤貞嘉研究・環境安全担当理事、数井寛産学連携担当理事ら委員14人で構成。7月下旬に初会合を開いた後、誘致に向けた現地の地質調査を行うほか、ILCを活用した東北地域の産業振興の可能性を探る。
 素粒子物理研究をめぐっては、欧州合同原子核研究所(CERN、スイス)が4日、二つの国際チームによる大型加速器を使った実験で、物質の質量の起源となる「ヒッグス粒子」とみられる新粒子を発見したと発表した。
 ILCは全長約30キロに達する高エネルギー電子・陽電子加速器。「ヒッグス粒子」発見のためCERNで1~2年かかった実験を、1日で行うことができるという。
 世界中から常時数千人の科学者や技術者が集まり、数十年にわたって素粒子物理研究の中心的な役割を担うとされる。
 協議会委員を務める大学院理学研究科の山本均教授は「今後の素粒子物理学は、ヒッグス粒子の精査・検証が主な研究課題になる。誘致が実現すれば、この分野で実績のある東北大がILCの研究拠点になることが期待される」と話している。

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