「日本再生戦略(原案)について」より高等教育関連部分抜粋

「日本再生戦略(原案)について」より高等教育関連部分抜粋

②我が国経済社会を支える人材の育成

<基本的考え方>

高等学校卒業者の大学等への進学率が5割を超えている中、2012 年3月卒業
の新規学校卒業予定者の就職環境は、大学卒業者の就職率(2012 年 4 月1日現
在)が 93.6%と若干ではあるが改善の兆しが見えてきたものの、引き続き改善
に向けた取組が必要な状況にある。また、人々の財・サービスの需要が変化し
てきており、その変化に対応したイノベーションを担う能力など、産業構造の
変化に応じた職業能力が求められている。

このような中で、大学卒の新規就職者の3年以内の離職割合は3割程度、高
等学校卒の新規就職者の3年以内の離職割合は4割程度となり、大学・大学院
卒のニートも増加傾向にある。また、大学等の教育面での力点と企業の大学等
への期待にミスマッチが生じている部分がある。さらに、国際競争の激化や非
正規雇用の増加が進む中で、これまでのように企業内教育に依存するだけで
は、能力の蓄積の機会を得づらくなってきている。

「新たな時代の開拓者たらん」という若者の大きな志を引き出し、自ら学び
考える力を育む教育などを通じて叡智にあふれる人材を育成していく必要があ
る。産業構造の変化や新たな国際分業等に対応するために求められる人材ニー
ズを踏まえ、産学官の連携の下、知識・情報を社会や市場につなぐ仕組みを戦
略的に強化する人材育成システムの再設計を図り、人材の底上げやニーズに対
応した多様な人材の育成を実現する。

このため、我が国経済のインクルーシブな成長を目指し、産学の連携・協力
を図りながら、成長分野やものづくり分野における職業教育・職業訓練や、い
わゆる「手に職を持つ」、「技術や専門性を有する」自営業者や個人事業主を
育成するなど自立するための職業教育・職業訓練を強化し、実践的な職業能力
評価の仕組みの導入を図る。また、若者の国際的視野を涵養する取組を推進
し、語学力・コミュニケーション能力を含め、新たな価値やビジネスを創造で
きる能力を持つ人材を育成することが必要である。さらに、こうした方向に資
する教育改革に取り組む。これらの取組を通じて、社会経済を支える人材の底
上げやグローバルに通用する高度人材の育成・確保を図る。

[人材育成戦略]

【2020 年までの目標】
国際的な学習到達度調査で世界トップクラスの順位
日本人学生等 30 万人の海外交流
質の高い外国人学生 30 万人の受入れ
日本企業のマネジメント層の国際経験を東アジアトップレベルに引き上げ

【2015 年度の中間目標】
中高一貫教育を行う学校数 500 校
学生の学修時間の欧米並み(1日8時間前後)の水準の確保
英語による授業の倍増、外国語で教育研究指導可能な人材の 1.5 倍増
外国大学等との交流協定に基づく単位互換制度を実施している大学5割
マネジメント層の国際経験に関する国際ランキングを東アジア上位3位に上昇

633 制の柔軟化等による意欲ある地域の取組の促進、大学ビジョンに基づい
た高等教育の抜本的改革など、社会の期待に応える教育改革を推進し、社会を
生き抜く力を養成する。また、グローバル人材の育成や教育と職業の円滑な接
続、社会人の学び直し等の環境整備等に取り組む。

 
(重点施策:633 制の柔軟化等による意欲ある地域の取組の推進)

社会構造の変化や地域の実情に対応した意欲ある地域の取組を推進し、新た
な時代の個々人の学びをきめ細かく支援・促進する。このため、2012 年度中に
高校教育改革プログラム(仮称)を取りまとめるとともに、小中一貫教育制度
(仮称)を創設するなど、小中一貫教育や中高一貫教育の充実等を図り、柔軟
で多様な進路設計を可能とする弾力的な教育を推進する。また、ICT も活用し
ながら、基礎知識に加え、課題発見・解決能力やコミュニケーション能力など
重要な能力・スキルの確実な習得を目指すとともに、教育の質の向上に向けて
教職員の質の改善や地域との連携を含めた体制整備を推進する。

(重点施策:大学ビジョンに基づく高等教育の抜本的改革の実施)

大学に求められる多様な役割・ニーズを踏まえて 2012 年度中に大学ビジョン
を策定するなど、新時代に適応する特色ある高等教育の実施のための具体的取
組方策・支援基準を取りまとめ、国立大学改革の方向性を提示するとともに、
国立大学改革を先行実施する。2013 年央までに取りまとめる国立大学改革プラ
ンを踏まえて大学・学部の枠を越えた連携・再編成等を促すなどの改革の加速
化を図るとともに、財政基盤の確立と基盤的経費(運営費交付金、私学助成)
等の一層のメリハリある配分の実施や、私立大学の質保証の徹底推進を図る。
加えて、大学のマネジメント強化、学修環境整備、大学入試改革、地域再生の
拠点としての大学の機能強化等を進めることなどにより、高等教育の抜本的改
革を進め、世界レベルの高等教育を目指す。

(重点施策:グローバル人材の育成と社会人の学び直し等の推進)

豊かな語学力・コミュニケーション能力等を身につけ、国際的に活躍できる
グローバル人材への需要はますます増加しており、グローバル人材育成戦略を
踏まえ、国際的に誇れる大学教育システムを構築するとともに、日本人学生等
の海外交流促進と質の高い外国人学生の戦略的獲得、国際化対応ビジネス人材
の育成を図る。また、大学の秋季入学導入に向けた環境整備を進めるとともに、
国家公務員の採用に関し、留学経験者の選考・採用時期の配慮など通年採用も
含めた採用時期等の柔軟化による多様な人材の確保など可能なことから率先し
て取組を進める。さらに、2014 年度には、大学の秋季入学等の導入に関する政
府として基本的な対応方針を整理する。

また、大学・専門学校等における社会人の学び直し等のニーズに対応した学
修機会の提供や、「人を活かす」サービスの創出等による再教育・マッチングの
仕組みの構築を図る。

 

 

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