文科省、障害者の大学就学を支援へ『日本経済新聞』2012年7月13日付

『日本経済新聞』2012年7月13日付

文科省、障害者の大学就学を支援へ

 文部科学省は、身体障害や発達障害などを持つ人の大学進学や入学後の学習の支援を本格化する。全国の大学に、入学試験で試験問題の代読やワープロ使用を認めたり、専門の支援部署を設けて教科書の点字化などを進めたりするよう促す。支援を充実させる大学には補助金を増やす方針で、国の来年度予算の概算要求に一部を盛り込む。

 文科省は今年6月、障害学生の支援策を検討する有識者会議を初めて設置。同会議の議論などを踏まえ、支援を順次拡充していく方針だ。

 同省は、入試で適切な配慮を受けられる環境づくりから着手する。障害の種類に関係なく全ての大学を受験でき、別室での受験や試験時間の延長、問題文の代読などが認められるようにする。

 入学後のサポートを充実するため、全大学に担当者や担当部署を置くよう促す。視覚障害がある学生向けに教科書を点字化したり、発達障害がある学生が読みやすいように電子データに加工したりと、きめ細かい支援ができるようにする。

 就職支援も強化。就職先を紹介する際や就職活動への対応について、障害に応じた適切な助言ができる体制の整備を大学に求める。

 日本学生支援機構によると、障害を持つ学生の数は2011年度で約1万人。全学生の0.3%だが年々増加しており、このうち発達障害のある学生は1453人と5年前の10倍以上になった。

 一方、支援体制は各大学任せになっており、何らかの支援を行っている大学は全体の6割の490校にとどまり、実際に支援を受けた学生も6割にすぎない。大学によっては入学を認めていないケースもある。

 海外では、米国は全ての大学に支援部署の設置を義務付けている。障害を持つ学生は全体の1割にのぼり、充実したサポート体制が多様な学生をキャンパスに呼び込んでいるとされる。

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