東北大とニュービジネス協議会 復興へ起業家100人育成『日本経済新聞』2012年7月4日付

『日本経済新聞』2012年7月4日付

東北大とニュービジネス協議会 復興へ起業家100人育成

今後5年、被災3県に拠点 経営者など実践教育

 東北大学と東北ニュービジネス協議会(TNB、仙台市)は、東日本大震災からの復興を担う起業家を5年間で100人程度育成する。岩手、宮城、福島の3県に活動拠点を設け、経営者や学者が実践的に指導する。被災自治体に人材を派遣し、まちづくりを支援する事業も始める。大学の知見と民間のノウハウを生かして復興を後押しする。

 産学の有識者や行政経験者が設立した「東北未来創造イニシアティブ」が3日、東京都内で記者会見を開いて事業概要を発表した。東北大経済学部長の大滝精一教授とTNB会長の大山健太郎・アイリスオーヤマ社長が代表発起人に就いた。2016年度までの5年を活動期間として起業家支援に当たる。

 仙台市に本拠地を置くほか、岩手県の盛岡市と釜石市、宮城県の気仙沼市と石巻市、福島市にも活動拠点を設置する。活動に賛同する企業や大学、特定非営利活動法人(NPO法人)から有識者や専門家を派遣。起業を目指す人にマーケティングや会計など事業化に必要な知識を実践的に指導する。新事業の立ち上げ後も継続的に助言する。

 今年度は既に起業プランのコンペを実施し、30人の起業家候補を選抜した。さらに20人を加えた後、8月をめどに各拠点で具体的な指導を始める計画だ。2カ月に1回は受講者を仙台市に集めて交流会を開く。育成する起業家は13年度から100人規模に増やす。

 12年度の活動資金は内閣府の補助金約1億円を充てる。13年度以降は経済団体や個別企業の寄付も受けたい考えだ。記者会見で大山社長は「復興には未来に向けた新産業をつくる必要がある」と話した。

 被災地のまちづくりや産業振興を後押しするため、自治体にも専門家を派遣する。第1弾として10月から気仙沼市を支援する予定だ。派遣する人材は自治体の要望を聞いたうえで決める。半年ごとに被災自治体の首長と経営者が集まる会議を開き、復興の方向性を話し合う。大滝教授は「行政は弱体化しており、民間の発想や支援が求められている」と述べた。

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