今春入学者1桁… 静岡大法科大学院 改革急ぐ『静岡新聞』2012年6月24日付

『静岡新聞』2012年6月24日付

今春入学者1桁… 静岡大法科大学院 改革急ぐ

 全国8割の法科大学院で入学者が定員を下回り、学生募集を停止する大学も出る中、静岡大は今春の入学者が初めて1桁となり危機感を強めている。入学者の減少は大学運営や教育の質に影響を与えるとして、2013年度入試を全国8会場で行うなど改革を急ぐ。

 今春、学生を募集した法科大学院73校のうち63校で入学者が定員を下回った。静岡大は定員20人に対し入学者8人。ことし入学した学生は「教員に質問しやすいなど少人数のメリットも感じるが、大学経営の面では大変だと思う」と話す。

 全国の法科大学院で入学者が減少している背景には、新司法試験の合格率の低迷がある。法科大学院のスタート時、政府は「合格率7、8割」を目標としていたが、11年の平均合格率は23・5%で過去最低を更新した。静岡大の11年合格率は14・9%(7人)だった。

 静岡大は10年に中教審法科大学院特別委員会から、教育内容などに大幅な改善が必要とされる「重点校」に指定された。同大学院法務研究科長の田中克志教授は「入学者数に影響している」とみる。

 静岡大は成績・進級判定の厳格化や各授業の到達目標の明確化など組織的な教育開発(FD)活動を行ったことが認められ、ことし3月には「重点校」から脱出した。今後も教育体制や学習環境の充実を図り、新司法試験合格率の上昇を目指す。

 入学者の確保のため入試改革も行う。来年度入試は試験日を3日程から4日程に拡大する。会場もこれまでの静岡、東京に、札幌、仙台、富山、大阪、松山、福岡を追加する。ただ、「会場を増やしても、遠方の地方都市の志願者はそれほど増えるとは思えない」との厳しい見方もある。

 伊東幸宏学長は「実績を上げて地域の期待に応えるため、大学としてあらゆる努力をしていく」と述べた。

 【メモ】法科大学院は法曹(裁判官、検察官、弁護士)を養成する専門職大学院で、2004年に開設された。修了後5年以内に3回まで新司法試験を受験できる。静岡大は05年に設置した。同大の新司法試験の合格率は08年11.8%、09年11.1%、10年16.2%、11年14.9%で推移している。

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