有機EL拠点、福岡市西区に整備へ 九大など産学官連携『西日本新聞』2012年6月9日付

『西日本新聞』2012年6月9日付

有機EL拠点、福岡市西区に整備へ 九大など産学官連携

 県は、ディスプレー素材として注目される有機EL(エレクトロルミネッセンス)の次世代型製品の開発を目指す拠点として「有機光エレクトロニクス実用化開発センター」を、福岡市西区元岡に整備することを決めた。有機ELの材料にレアメタル(希少金属)を使わず高効率で電気から光エネルギーを生み出すことに成功した九州大の安達千波矢(ちはや)教授が、センター長に就任。実用化研究を行い、関連産業の育成や集積を目指す。

 センターは鉄筋コンクリート造りの2階建て、延べ床面積約1800平方メートル。クリーンルームや試作室、耐久性・性能評価室などを備え、九州大伊都キャンパスの近くに建設する。県の外郭団体「県産業・科学技術振興財団」(理事長=小川洋知事)が運営し、安達教授をはじめ研究者など14人体制で研究・開発に当たる。

 国や県などが補助金を拠出し、総事業費は8億9500万円。約3600平方メートルの土地は福岡市が無償貸与する。23日に着工し、2013年1月に完成。来春の稼働を目指す。

 安達教授は、イリジウムなどレアメタルを使わない次世代有機ELの実用化を進めており、九州大は高い発光効率の有機ELの特許を持っている。県新産業・技術振興課は「センターは企業の技術者の利用も想定しており、九州大など産学官が連携した開発拠点化を目指したい」としている。

■有機EL

 有機化合物の薄い膜に電流を流し、光らせる仕組み。液晶、プラズマに続く次世代ディスプレーの素材として携帯電話やテレビ、照明などに利用される。液晶よりも消費電力が少なく、鮮やかな色合いや高画質が特徴。紙のように折り曲げ可能なディスプレーなど次世代の受像機への活用も期待される。

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