在学2年 高卒容認 飛び入学促進 法改正へ『東京新聞』2012年6月2日付

『東京新聞』2012年6月2日付

在学2年 高卒容認 飛び入学促進 法改正へ

 文部科学省は一日、高校を二年間で卒業して大学入学資格を得られる「早期卒業制度」を創設する方針を決めた。特に優秀な生徒の得意分野を伸ばして早く大学で学べるようにし、国際社会で通用する人材を育成するのが狙い。早ければ来年度の学校教育法の改正を目指す。 

 現在も高二修了で大学に入れる「飛び入学」制度があるが、高校中退扱いになる上、手続きが複雑で、一九九八年以降、六大学で約百人の利用にとどまっている。 

 四月の政府の国家戦略会議では、日本の成長には教育改革が急務との指摘が相次ぎ、小中高校の「六・三・三」制の見直しや、大学入学に年齢制限がない米国やフランスを参考にした検討が文科省に求められていた。 

 文科省は制度創設により、科学技術など特定分野で才能を持つ生徒が、大学の専門教育や研究に早くから入れることや、長く海外留学しても就職に支障が出ないなどのメリットを想定している。 

 だが、教育関係者には「エリート優遇」との批判や「受験競争の低年齢化を招く」といった懸念も強い。文科省は学業成績やスポーツ、芸術で特に秀でた場合に限ることで対象を広げすぎない考えだが、制度設計をめぐって曲折も予想される。 

<大学の飛び入学> 高校に2年以上在籍し、特定の分野で優れた才能を認められた高校生が、卒業を待たずに大学に入学できる制度。高校は中退した扱いになる。1997年に学校教育法施行規則が改正され、数学と物理の分野に限って導入。2001年には対象分野の制限が撤廃され、スポーツや芸術にも適用されている。98年の千葉大が第1号で、ほかに名城大(名古屋市)、昭和女子大(東京)、成城大(東京)、エリザベト音楽大(広島市)、会津大(福島県会津若松市)が実施している。

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