大学教育部会(第13回) 議事録 平成24年4月16日

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大学教育部会(第13回) 議事録

1.日時
平成24年4月16日(月曜日)17時~19時

2.場所
文部科学省東館3階 3F1特別会議室

3.議題

  1.大学教育の質の保証・向上について

  2.その他

4.出席者
委員
(部会長)佐々木雄太部会長
(副部会長)谷口功副部会長
(委員)浦野光人,長尾ひろみの各委員
(臨時委員)川嶋太津夫,吉田文の各臨時委員
(専門委員)荻上紘一,高祖敏明,篠田道夫,長束倫夫,納谷廣美,濱名篤の各専門委員

文部科学省
藤木文部科学審議官,板東高等教育局長,合田生涯学習政策局長,田中総括審議官,小松私学部長,奈良高等教育局審議官,藤野野生涯学習政策局政策課長,義本高等教育企画課長,勝野私学行政課長,袖山高校教育改革PTリーダー,池田大学振興課長,合田高等教育政策室長,森友教育改革推進室長,樋口大学改革推進室長,松坂私学経営支援企画室長,齋藤高等教育局視学官,白井大学振興課課長補佐,杉江高等教育政策室室長補佐,小山田高等教育政策室専門官 他

5.議事録

(1)大学改革を巡る最近の動向について,文部科学省から資料1の説明があり,その後,意見交換が行われた。 

【佐々木部会長】  審議に先立って事務局から,大学改革をめぐるこの間の動向について報告をお願いします。一つは国家戦略会議における議論,いまひとつは,本省内の大学改革タスクフォースでの検討状況です。 

【義本高等教育企画課長】  お手元の資料1,大学改革タスクフォースでのこれまでの検討状況と,それから机上に配付させていただいています2種類の資料を中心にしまして,本部会の議論とも関連いたします大学改革全体の動きについての話を簡単にさせていただきたいと存じます。

 まず,大学改革タスクフォースですが,資料1にありますように,昨年の政策提言型仕分けをきっかけとしまして,大学改革のあり方につきましてスピード感を持って検討するということで,省内に,当時の森副大臣をトップとしますタスクフォースを,2の検討体制に書いているようなメンバーで議論をしております。これまで7回を開催しているところでございます。

 1枚おめくりいただきまして,そこではこの1から3にあるようなテーマで議論をこれまでしてきたところです。1番目は,本部会の審議まとめとも関連いたします,いわゆる学習密度を高め,成果を重視していくようなシステムづくりとか,それと関連する高校教育改革,高校教育と大学教育の接続の問題。

 それから,3番目として,この1番,2番目のテーマに関連するような大学のシステムの問題。評価を含めた世界標準の質保証の仕組み,あるいは機能分化とガバナンスの問題,それからいわゆる知の持続的創出と書いておりますが,研究力の強化の話。あるいは地域と大学の関係の問題等々について,これまで7回審議を重ねてきたところです。

 その結果を踏まえまして,できるかぎり早いうちに,今後の大学改革の方向性とおおむねどういうふうなスケジュールで全体を描きながら進めていくのかにつきまして,いわゆる改革のプランというものをまとめ,世に出していこうということを今考えているところです。

 それにつきましては,特に今後の話としては,これまでの議論を踏まえて,4点程度の軸で整理したいと思っております。

 1点目は,本部会にも関連する,学生がしっかり主体的に学ぶ,考える力をつけていくという問題。大学教育の質の転換,あるいは高大接続のあり方,そこによる学力保証の問題。

 2点目は,先ほどの話にもあるような大学の機能強化。それから機能分化の促進による大学づくりの話。評価の問題もありますし,また,この資料1にもありますように,国立大学の改革について,改革推進費,事業というものを活用しながら先導的な改革をどう進めていくのか。あるいはグローバル人材,研究力というようなシステム改革をめぐる問題です。

 3点目は,地域と社会とのかかわりに関連しますが,地域再生の核としての大学づくり,今後少子高齢化を迎え,18歳人口が減る中において,地域の課題あるいは生涯学習機能をどう高めていくかということについて,これまであまり大学政策においては十分焦点が当たっておりませんでしたが,そこを取り上げることはできないかという問題。

 4点目としては,それを支える意味での改革推進のためのガバナンスの問題,あるいは財政基盤というような点についてまとめ,今整理しております。

この資料1の4.にありますように,国家戦略会議においても大学教育を中心としました教育改革の議論を進めているところです。これについては机上配付の資料2と資料1をご覧ください。

 国家戦略会議においては,日本再生戦略を取りまとめようということで,各分野でのヒアリングを重ねながら議論をこれまで重ねてきたところです。特にその中においても,人材育成の問題を一つ中心の重要テーマとして位置づけて,それを取り上げようということで,7月9日に平野文部科学大臣も加わり議論したところです。

 文部科学省からは,机上配付の資料2で説明いたしました。詳しい内容についてポイントだけ紹介いたしますと,1ページ,2ページがこれまでの社会のありようの変化,あるいは日本の目指すべき姿ということを前提にしながら,3ページにあるような五つの柱でプレゼンテーションしております。

 1番目として,初中教育にかかわる問題ですが,世界トップレベルの学力の実現。あるいは2番目にあるようなグローバル人材の育成の話。3番目が,先ほどのタスクフォースの議論ともかかわりますが社会を変革するエンジンとして大学の役割,大学改革の問題。4番目が学びのセーフティーネットということで,学びの機会均等の問題等々を扱っております。5番目が,教育から職への接続ということで,キャリア教育,職業教育の充実というようなテーマを挙げているところです。

 大学改革については,机上資料7ページに概略を説明しておりますが,改革の方向性として,社会を変革するエンジンとしての大学の役割の発揮ということで,ここにあるような4点をテーマにして整理し,今後の方向性あるいはおおむねのスケジュール等について全体像として示すべく準備をしているところです。

 あわせて,机上資料に民間議員から資料1として提出されました「次世代の育成と活躍できる社会の形成に向けて」というペーパーも4月9日において議論のたたき台になっております。

 一部新聞でも報道されておりますが,1ページの下から世界で活躍する人材の問題,それから2ページから経済を支える人材の育成の仕組みの転換,3ページから,新聞でも出ておりましたが次世代を見据えた教育システムの抜本改革ということで,633制の学生のあり方も含めた体系の見直しの問題。

 それから新聞でも報道されておりましたが,大学の統廃合等の促進を含む高等教育の抜本改革ということで,国立大学あるいは私学について基盤経費のメリハリある配分を実現すべきではないかとか,あるいはグローバルリーダーを育成するための授業料減免等の重点強化,それから運営費あるいは私学助成を含めまして,統廃合促進を含めて大学改革を促進するとともに,いわゆる高専創設等々についての提言がなされております。

 これを含めまして,平野大臣からこのプレゼンとあわせて統廃合の問題,あるいはメリハリある財政の配分についてもコメントしておりますが,新聞でも報道されておりますように,統廃合を自己目的としてやるのではなく,統廃合によって地域から大学をなくすという発想ではなくて,大学の連携強化を図りながら教育研究力を高めて,人材の質を高める方策あるいは努力というのが大切であって,その結果として,取り組みが不十分な大学が淘汰されることはあったとしても,統廃合自体を目的として政策を推進するということについては,日本の教育水準を高めることにはつながらないということを明確に話をしております。

 時間も限られておりましたので,総じて財政的な観点からの部分が中心でして,人材育成の機能強化等の議論については残念ながら十分に触れることができませんでした。

 この会合は今後も続きまして,5月の国家戦略会議で大臣から改めて,大学の問題も含めて教育改革の方針を整理して報告する予定になっております。先ほども申しました大学改革の全体像を示すプランにつきましても,そのような取り組みを踏まえながら整理し,まとめていくということになっております。

 当然,中教審の議論とも期を一にしながら取り組みを進めていくべく,準備していきたいと思っておりますし,また,まとまった段階においては本部会あるいは分科会においても報告させていただきたいと思っております。 

【谷口副部会長】  一つ教えてください。机上配付資料に,国家戦略会議や民間議員の資料等々ございますが,この会議はどれくらいの頻度というか,どういう形で会議を開催されて,どういう形でまとまっていくのか,その辺のスケジュールはどのような感じでしょうか。 

【義本高等教育企画課長】  これは人材育成だけではなくて,先ほど申しましたように,ほかの例えば社会保障の問題ですとか,あるいは全体を含めた形で取りまとめをしようということですので,これは旧自民党時代においてもいわゆる経済財政諮問会議というのがありまして,そこでも民間議員という方々から提言されて,それを踏まえて議論を深めて,全体としてはまとめていくというプロセスがありましたが,おそらくおおむねそういうことと類似の対応になっていくのではないかと思っております。

 ですから,この民間議員のペーパーはいわゆる問題提起でございまして,それを踏まえて,文部科学省も含めて議論した上で政府として全体の姿をまとめていこうということです。文部科学省としては,大臣からもご指示いただいておりますが,人材育成,質の向上ですとか教育研究力を上げるためには,やはり大学間の連携をしっかりやっていくということが大事だというお話をいただいていますので,それを踏まえながら今後整理をして,提示していきたいと思っているところでございます。 

【長尾委員】  先ほどご説明くださいました大学の統廃合等というところですが,机上資料の3ページには「86の国立大学法人について」とあり,統廃合は,この1項目だけが該当するのではありません。これは当然私学も含めての考えで,私学の統廃合というのはどういう思いで語っていらっしゃるのかをお聞きしたいのですが。国立はわかるのです。国公立の統廃合は。 

【義本高等教育企画課長】  その辺がはっきり申し上げて明確ではございません。どういう目的で統廃合するのか,あるいはそれによってどういうことを考えていくのか。ここでは統廃合という言葉自身がこの表題のインデックスと,統廃合を含めた大学改革という形で,4ポツのところに書いておりますが,理念とか,あるいはそれによってどういう効果を目指していくのかということ自身が,必ずしも明らかになっておりません。

 議論としましては,財政的な問題も議論がありますが,教育的な観点から立ってどうなのかについての議論がなかなか含まれなかったという点があります。 

【長尾委員】  補足ですが,この言葉がこのまま動いていくのでしょうか。 

【義本高等教育企画課長】  はい。これは民間議員の方の問題提起ということで,そこでは議論の一つの材料にはなりましたが,これが一つの方針として決められていくということではありません。先ほど申し上げたように,政府の中において関係する文部科学省も入り議論した上で,適切な結論を出していくべく考えるという,そういう流れになると思います。 

【高祖委員】  平野大臣が使われたこの机上配付資料の5番目に,教育から職業への円滑な接続のためのキャリア教育,職業教育の充実という点があります。キャリア教育ということですから,学校教育の中の話が中心になると思うのですが,現代のこの教育と職業との円滑な接続ということを考えると,大学だけでは片づかない問題があるわけで,産業界あるいは職業との連携というか,そこについても何か働きかけが要るんじゃないかと思うのですが,この辺について何か議論はありましたでしょうか。 

【義本高等教育企画課長】  残念ながら,キャリア教育についての議論は4月9日の場では深められなかったということです。 

【高祖委員】  これからそういうことについて議論していただけるんでしょうか。

【義本高等教育企画課長】  ただ,問題意識としては,この資料にも表しており,高祖先生からもお話があったように,これは学校教育体系とも問題が絡んでいますので,大学教育に限らず,初等中等教育も含めて全体の体系の位置づけと,あるいは接続の問題をしっかり考えていくという問題意識がございますが,その点はぶれはございません。 

【佐々木部会長】  今後もこうした動き,あるいはタスクフォースでの検討の状況について,本部会にご紹介をいただきながら,本部会の議論も重ねてまいりたいと思います。

(2)「審議まとめ」に関連して検討すべき課題及び大学教育改革フォーラムの開催について,文部科学省から資料2~資料6の説明があり,その後,意見交換が行われた。 

【佐々木部会長】  それでは,「審議のまとめ」に関連してご意見を賜りたいと思います。前回3月26日の本部会では,皆様から非常に具体的かつ貴重なご意見をたくさんいただきました上,最終的な文言の修正等は私に一任をいただいておりました。それを踏まえて事務局と協議をしながら,最終的な文案を作成いたしました。ここで主な修正点,あるいは今後検討すべき課題,あるいは今後の審議の進め方等について,事務局から「まとめ」に沿って説明をいただきたいと思います。

 また,「まとめ」にも書き込みましたように,今後,全国各地で学生あるいは保護者等を巻き込んだ議論を重ねていくことも重要であろうということを,前回この場でも述べたところですので,その具体化等についても事務局から説明をいただきたいと思います。

(中略)

(3)学士課程教育に関する緊急調査及び高等学校教育部会の審議状況について,文部科学省から資料7,資料8の説明があり,その後,意見交換が行われた。 

【合田高等教育政策室長】  資料7ですが,これは審議まとめの10ページにもありますように,学士課程教育の現状と課題ということについて,文部科学省としてしっかり把握するようにというご指摘を本部会からもいただいているところです。

 本部会での審議に資することができるように,資料7にありますように,現在アンケート調査の実施を検討しているところですので,お目通しの上,ご議論,ご指摘をいただければと思います。

 趣旨といたしましては,学生の学修時間の実態把握という,各大学においてどのような学修時間の実態把握を行っているかという状況を把握するとともに,学生の学修時間を増加・確保していくために各大学で行っている取り組みの現状,課題を調査するということでございます。

 現在のところ,すべての4年制大学の学長先生,及び学部ごとにかなり状況が異なると存じますので,各部長の先生方すべてにアンケートを送らせていただいて,ファクスないしはウエブでお答えをいただくということです。

 本部会の先生方,及びそれ以外の専門家の先生方にもご助言をいただきながら,できるだけ正確かつ簡潔な,かつスピーディに集約できるようなアンケートにさせていただきたいと思っております。

 調査事項ですが,学生の学修時間をそれぞれの大学でどう把握をしているのか,その把握の方法や学修時間の実態。それから質を伴った学修時間の実質的な増加・確保のために導入している教育制度・教育システムや,教育方法・実践の具体例。毎年行っておりました大学における教育内容等の改革状況調査との重複を避けながら,今回の審議まとめに沿った有益な情報が得られるように,調査項目を整理させていただきたいと思っております。

 例えばシラバス,それからナンバリングといったようなものがそれぞれの趣旨に沿った形で行われているのかどうか。あるいは,クリッカー技術等の活用による学生応答・理解度把握システム,体験・実践活動等についてお伺いをするということで現在検討しております。

 また,学生の学修時間の確保が進んでいない要因,それから,これは本部会でもご議論ありましたように,学生の学修時間の増加・確保をしていくために国や大学支援法人にどのような期待をするのか。学修時間の確保に向けて大学全体で取り組んでいく際の教学運営上のガバナンスの課題,組織運営面,あるいは人事管理面での課題といったものについてもお伺いをしたいと思っております。

 現在のところ,4月下旬に調査表を発出いたしまして,5月上旬に締め切りをし,6月の上旬に本部会にその結果をご報告するということでスケジュールを考えております。ご指摘,ご指導いただければと思っております。

(略)

お問い合わせ先
高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

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