地方公務員 次の焦点 給与削減、独法などに要請 政府、7000億円捻出狙う『日本経済新聞』2012年5月12日付

『日本経済新聞』2012年5月12日付

地方公務員 次の焦点 給与削減、独法などに要請 政府、7000億円捻出狙う

 政府が震災復興の財源として独立行政法人などに給与引き下げを求める方針を決めたことで、次の焦点は金額が大きい地方公務員や公立小中学校の教職員給与に移る。政府内では地方向けの国の歳出について、地方公務員などの給与削減に見合う7000億円程度の減額を探る動きがあるが、地方の抵抗が大きく、実現は容易でない。 

 復興財源を巡っては、2月末に国家公務員の給与を2年間にわたって平均約7.8%引き下げる特例法が成立し、年2900億円の財源を捻出した。さらに政府は11日、独法や国立大学、特殊法人に対し、国家公務員に準じた給与引き下げを迫り、国の補助金を700億円ほど削減する方針を決めた。ここまでは国の意向で削減できた。

 問題は次の焦点になる地方公務員や公立小中学校の教職員の給与の扱いだ。現在は地方に自主的な給与引き下げを求めているに過ぎない。

 関係者が注視するのは財務省が国から地方に配る地方交付税などの支出を削減する「強硬手段」に出るかどうかだ。水面下では、地方交付税や教職員給与の3分の1を賄う義務教育費国庫負担などの地方向け支出の削減を探る動きがある。

 この2つの支出を減らせば、交付税で約6000億円、義務教育費で約1000億円の大きな財源を捻出できる。国家公務員から始まった一連の「公的部門」の給与引き下げで1兆円超の財源を確保できる計算だ。

 だが地方側の抵抗は強い。全国知事会は「地方全体で10年間に2兆円の給与を削減した。地方交付税は削減しないでほしい」と主張している。横浜市や茨城県かすみがうら市では給与引き下げの条例案が議会で否決されるなど、給与削減に反対する動きも強い。

 民主党は自治労や日教組などの公務員労働組合の支持を受けており、党内でも地方向けの歳出削減に対する抵抗は大きい。

 自民党は2012年度予算の組み替え提案で、「国と地方公務員の給与削減で国費1.5兆円の削減」を掲げる。財務省内では「(国会で審議中の)赤字国債法案を通す与野党合意の条件になれば、交付税などの削減が実現するかもしれない」との声が出ている。

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