『中日新聞』2012年4月20日付
医工連携へ人材育成 東海3県の技術仲介
成長が期待される医療福祉分野の機器開発に、東海3県の製造業の技術を生かそうと、岐阜県研究開発財団が本年度、橋渡し役となる人材の育成に乗り出す。医療と工業の連携に特化した人材育成は全国でも珍しい。
製造業の医療福祉分野への技術応用では、航空機部品用の強化プラスチックを同県各務原市の企業が人工関節に転用した例がある。
しかし、医療福祉現場の技術ニーズが把握できず、開発した機器の許認可を得る方法を把握していないことなどからハードルは高い。このため、コーディネーターを育成して技術とニーズを橋渡しする。
具体的には、医療現場と企業を結んで機器開発を目指すヘルスケア産学連携コーディネーターと、医療機器の治験を支援する治験コーディネーターの育成を目指す。
ヘルスケア産学連携コーディネーターは、製造業の知識や人脈を持つ中小企業診断士などが対象。医療福祉の現場ニーズや薬事法の許認可の取り方などを教え、機器開発から事業化までを手掛ける。
治験コーディネーターは、看護師や薬剤師、臨床検査技師などの医療専門職が対象。開発した医療機器のデータ集めを行い、安全性を評価する。
東海3県を舞台にセミナーなどを行い、薬事法や医療機器などの専門家が講義したり、医療福祉現場の視察も検討する。二つのコーディネーターで二百数十人を育成する。総事業費は2200万円で、全額が国の補助金。
岐阜県研究開発課は「医療福祉は成長が見込まれる分野だが、進出には特殊な知識が必要。人材育成を通じ、中部地域の基幹産業に育てたい」と話す。