秋入学、私大に温度差 都市部の大規模校は前向き 地方に慎重意見『日本経済新聞」2012年3月29日付

『日本経済新聞」2012年3月29日付

秋入学、私大に温度差 都市部の大規模校は前向き 地方に慎重意見

 秋入学移行を巡る日本私立大学連盟のアンケート結果では、大都市部の大規模校がグローバル化や国際競争を意識し、秋入学に前向きな姿勢がうかがえた。一方で、中小規模や地方の大学では慎重な意見も多く、大学の規模などによる「温度差」が浮き彫りになったといえる。 

 規模の大きい有力大の積極的な姿勢は、秋入学移行の議論に弾みをつける可能性がある。

 私大連は回答した大学を学生数3千人未満の小規模校、3千人以上1万人未満の中規模校、1万人以上の大規模校に分けて集計。移行の是非とその理由などを回答する自由記述欄を設けた。

 「移行賛成派」の15校中、大規模校は8校を占める。内訳は東京都内が3校、近畿地方が2校と大都市部が多く、九州、中部、関東(東京除く)が1校ずつだった。

 賛成派のほとんどが国際化を理由に挙げた。「留学生の受け入れや派遣がしやすくなる。キャンパスの国際化が進み、優秀な学生が集まる」などの回答が代表例。「秋に授業が始まるまでの期間を活用し、学生に社会体験や留学など多様な経験を得させられる」(東京都内の大規模大学)との意見もあった。

 さらに、賛成派で最も前向きなのは、大学全体での実施を検討中の3校。そのうち、都内の大規模校2校は「グローバル化は大きな柱で、秋入学は改革の絶好の機会。2016年以降の全学部での実現が目標」「多くの国が秋入学で、学内に検討会議を設けた」と意欲を示した。

 一方、中小規模校や地方の大学からは慎重な意見が続出した。近畿の中規模大は「難関校以外は学生募集の点で春入学も実施せざるを得ない。カリキュラム上の混乱が多く、学生にとっても不利益」と反対した。

 高校卒業から入学までの半年間(ギャップターム)も「一部の優秀な学生以外は大学の支援なしに活用が難しい」(東海・中部の小規模大)との声があり、関東の小規模大は「東京大とは議論の前提条件が全く異なる」と指摘した。

 今回のアンケートについて、私大連に加盟する都内の有力私大幹部は「大規模校を除けば主体的な秋入学移行は現実的に難しく、多くの私立大は様子見というのが現状。秋入学が大勢になる際、他大学と足並みをそろえていけるように準備するしかない」と分析する。

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