被災3県国立大が人気 支援策効果/福島の私大苦境 『読売新聞』宮城版2012年3月14日付

『読売新聞』宮城版2012年3月14日付

被災3県国立大が人気

支援策効果/福島の私大苦境

 東日本大震災で被災した受験生たちは、全国の大学が用意した学費免除などの支援策を積極的に活用し、進路を決めている。被災3県の国立大は、こうした支援策で例年以上の受験生を確保したが、福島県の私立大は受験生の減少が著しく、苦境に立っている。

 「避難所で子供たちの面倒を見て、『やっぱり小学校の先生になりたい』と強く思うようになりました」

 石巻市の県立石巻高校3年の大森あずなさん(18)はそう語る。石巻市の自宅は津波で全壊。両親からは「心配せず、大学に進学しなさい」と励まされたが、やはり負担はかけたくない。そんな中、東北福祉大(仙台市)では、自宅全壊の入学者は入学金と初年度授業料を全額免除すると知り、目の前が開けた気がした。昨年12月、推薦入試に合格。「支援に後押しされた。大学でいろんなことを学びたい」と胸を躍らせる。

 大手予備校・河合塾の調査では、全国203大学が、被災受験生向けの学費減免措置を用意。河合塾は「被災地の高校では、支援をきっかけに推薦入試などで早めに合格をもらおうとする傾向も出た」とする。

 被災地の大学への志願動向は変動した。東北大の2次試験志願者は、九州地方など西日本からの受験生が減り前年比5%減となったが、宮城県内の志願者は50人増の1152人となった。福島大は全受験生の受験料を免除し、2次試験出願者が22%も増加した。

 福島大を受験した福島県立福島東高の男子生徒(17)は「県外の私大も併願したが、復興に役立つ仕事に就くなら地元の国立大が有利。学費負担も考慮して決めた。放射線は気にしていない」ときっぱり。

 一方、東北最大の私立大、東北学院大(仙台市)は、一般入試とセンター試験利用入試の志願者が6%減少。「東北地方の経済低迷で、家計負担を避ける心理が働いたのでは」とみる。

 福島県内の私立大は、さらに厳しい。日本大工学部(郡山市)では前年比35%も減少。日大本部広報課は「原発事故の影響以外に考えられない」とする。東日本国際大(いわき市)も3割減の見通しだ。いわき明星大(同)も4割減の状態で、「復興を担う人材育成強化で、大学の魅力を発信していくしかない」と話す。

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