国家公務員:給与削減、自公案「丸のみ」決着 民主、連合との板挟みで迷走 『毎日新聞』2012年2月18日付

『毎日新聞』2012年2月18日付

国家公務員:給与削減、自公案「丸のみ」決着 民主、連合との板挟みで迷走 

 国家公務員給与を平均7・8%削減する臨時特例法案の攻防は、17日の民主、自民、公明の3党政調会長会談で、民主党が自公案を「丸のみ」して決着した。連合が、削減と同時に公務員の労働基本権拡充を求めたのに対し、野党は基本権付与を嫌って従来通りの人事院勧告の実施を要求。板挟みとなった民主党は、昨年6月の法案閣議決定から17日の合意直前まで迷走した。【大場伸也、高橋恵子】 

 民主党は、給与削減と基本権拡充の関連法案をセットで成立させることを連合に約束。政府が人勧見送りを決めたのも連合への配慮だ。しかし、野党の反発で法案成立のめどが立たず、民主党は1月の実務者協議で人勧実施を受け入れた上で、平均8%超まで削減する案で基本合意せざるを得なかった。 

 すると、今度は連合がこれに反発。民主党はまたも連合に配慮し、人勧の適用を今年3月だけに限って削減幅を圧縮するよう求めたが、自公は昨年4月までさかのぼる要望を崩さなかった。民主党は「8%超削減は過大な負担だ」(幹部)と判断し、7・8%削減で済む自公提出法案を受け入れた。 

 3党は16日の政調会長会談で正式合意するはずだったが、民主党の前原誠司政調会長が15日、「政府提出法案の修正」での対応を自公に要請。自民党の茂木敏充政調会長が「ふざけている」と反発し、16日の政調会長会談が直前に中止された。 

 政府案の修正か、自公案丸のみか。同日夕の政府・民主三役会議は激論になった。連合の反発を懸念した樽床伸二幹事長代行は「政府提出法案でやるべきだ」と訴えたが、野田佳彦首相は「税と社会保障の一体改革の与野党協議につなげる意味でも、合意できる案(自公案)で行くべきだ」と指示。輿石東幹事長も「今後のすべての法案に影響する。自分が連合と話をする」と引き取った。 

 輿石氏は17日午前に連合本部で古賀伸明会長に会い、基本権拡充法案の今国会成立に「全力を尽くす」と決意を表明。古賀氏は記者団に「国会がギクシャクし、運営が難しいのは理解せねばならない」と語って矛を収め、どうにか決着した。

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 ◆国家公務員給与の削減を巡る経緯◆ 

 <11年> 

 3月11日 東日本大震災発生 

 5月13日 復興財源捻出のための給与10%削減案を政府が提示。労組と協議入り 

 5月23日 連合系労組と平均7.8%引き下げで合意 

 6月 3日 給与引き下げのための臨時特例法案と、労働基本権拡充などの関連法案を閣議決定 

 9月30日 人事院が11年度給与の0.23%引き下げを政府に勧告 

10月25日 政府の給与関係閣僚会議で人勧実施見送りを決定 

12月 7日 自民、公明両党が、人勧を実施した上で引き下げ幅を7.8%とする法案を衆院に提出

 <12年> 

 1月25日 民主党が自公両党との実務者協議で、人勧を実施して削減幅を拡大する修正案を提示 

 2月 9日 3党実務者協議を打ち切り、政調会長レベルに格上げ 

 2月17日 3党政調会長会談。民主党が自公案をほぼ丸のみし決着

 

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