行革実行本部 公約の辻褄合わせでは困る『読売新聞』社説2012年2月1日付

『読売新聞』社説2012年2月1日付

行革実行本部 公約の辻褄合わせでは困る(2月1日付・読売社説) 

 行政改革が思いつきの“打ち上げ花火”では困る。腰を据えて、改革を実行する必要がある。 

 政府が行政改革実行本部の初会合を開いた。当面、国家公務員の総人件費の削減などに優先的に取り組む。 

 野田首相が「不退転の覚悟で臨む」と明言する以上、きちんと成果を上げるべきだ。 

 消費税率引き上げへの国民の理解を広げるには、行政の効率化を徹底する努力が欠かせない。 

 民主党政権は、「総人件費の2割削減」という極めて高い目標の政権公約(マニフェスト)を掲げながら、公務員給与削減法案を除けば、2年以上も放置してきた。今になって具体策を羅列するのは泥縄の対応と言うほかない。

 岡田副総理・行政改革相は「前に進めねばならないので、少し乱暴なこともやる」と語る。新規採用の抑制や、各種手当と共済年金の削減などを検討している。

 「2割削減」の辻褄つじつまを合わせるため、新たに非現実的な政策を打ち出すような愚は許されない。地に足のついた改革が必要だ。 

 人件費削減には、民主党の有力支持団体の連合など労働団体の抵抗が予想されるが、政治家自ら説得を重ねることが求められる。 

 重視すべきは、国の出先機関の見直しとの連動である。

 政府は、国土交通省の地方整備局などの事務・権限と職員を、地域ブロックごとに自治体の広域連合に移管することを検討している。この具体化が大切だ。 

 政府内では、担当職員がいるからと、必要性の低い事務・事業を漫然と継続している例が少なくない。そうした部署は大胆に廃止し、より優先度の高い部署に職員を移せば、人件費は減らなくても、歳出削減の効果が出るはずだ。 

 民主党は、3月の消費税率引き上げ関連法案の国会提出前に、行政構造改革法案を議員立法で提出する予定だ。行革の「集中実行期間」を定め、具体的な実行計画を策定したうえ、進捗しんちょく状況を国会に報告するなどの内容という。 

 本来は、法律にしなくても、政府が閣議決定などで実施できるはずだ。衆参ねじれ国会の下で、法案成立に政治のエネルギーを注ぐ意味があるのか、疑問も残る。 

 法案にする以上は、総人件費や公益法人の改革で実行可能な数値目標を盛り込むなど、充実した内容にすることが肝心だ。 

 政府の行革に合わせて、従来は「聖域」となりがちだった国会事務局や議員経費の無駄の排除にも積極的に踏み込むべきだ。

 

 

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