「泥縄」改革、切り込み不足=省庁縦割り温存-独法再編 時事通信配信記事2012年1月19日付

時事通信配信記事2012年1月19日付

「泥縄」改革、切り込み不足=省庁縦割り温存-独法再編 

 政府・民主党は102ある独立行政法人(独法)を統廃合・民営化で約4割削減し、65法人に再編する改革案をまとめた。しかし、純粋な削減を意味する廃止や民営化、国移管の対象は14法人と1割程度。所管省庁をまたがる統合はほとんど見当たらず、「省庁縦割り」の構造が浮き彫りになった。

 「現時点でできることは精いっぱいやった」。岡田克也副総理兼行革担当相は19日の記者会見でこう胸を張った。当初、岡田氏が「半減を目指す」としていた独法改革だが、既得権益を手放したくない省庁の抵抗は「想像以上に強かった」(行政刷新会議関係者)という。その結果、削減される37法人のうち、統合で他法人に吸収される独法数は23にも上り、「焼け太り」を懸念する声もある。

 研究開発関連の独法では、研究分野ごとに省庁の垣根を越えた再編を目指したが、改革案では経済産業省所管の3法人、文部科学省所管の5法人をそれぞれ一つに再編。縦割りを崩すことはできなかった。都市再生機構など大型法人の扱いについても、結論を先送りするなど踏み込み不足が目立った。

 独法の統合は「重複する仕事を抱える人員を削減し、人件費をどれだけ減らせるかがカギ」(政府関係者)。組織と人員が温存されれば、「看板の掛け替え」にすぎない。独法改革に関する閣議決定文書案には、民主党の支持母体である労組の理解を得るため、「組織見直しでは職員の雇用の安定に配慮する」との文言が滑り込み、歳出削減でどこまで成果を挙げられるか疑問視する向きもある。

 そもそも野田佳彦首相が党行革調査会を設置したのは昨年12月。提言策定までの検討に要した時間は2カ月足らずで、調査会メンバーからも「十分な成果を示すにはとても時間が足りない」(若手)と悲鳴が漏れた。「泥縄式」でまとめた改革案に、自民党の谷垣禎一総裁は「駆け込みみたいにやるのはどうか」と批判した。

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