「社会資本」など17特会、11に削減 独法4割削減『日本経済新聞』2012年1月19日付

『日本経済新聞』2012年1月19日付

「社会資本」など17特会、11に削減 独法4割削減

 政府は19日、社会資本整備事業特別会計の2012年度末の廃止など全17特会を15年度末までに11に削減する特別会計改革案を決めた。現在102ある独立行政法人は日本貿易保険の特殊会社化などで約4割減の65法人に再編する。存続する独法には所管閣僚が是正命令を出す権限を設けるなど効率的な運営を促す仕組みに制度改正する。

 同日の行政刷新会議(議長・野田佳彦首相)で特会改革、独法再編案を了承。近く閣議決定し、それぞれの関連法案を通常国会に提出する予定だ。

 道路や港湾などの建設資金を管理する社会資本整備事業特会は廃止により一般会計と統合する。原子力発電所の立地対策などの財源であるエネルギー対策特会は将来の一般会計化も含め検討するとした。外国為替資金特会は来年度から財投預託金の減額などの見直しに取り組む。

 企業の対外取引に伴うリスクを軽減するための保険を手掛ける独法の日本貿易保険は、政府が全額出資する形の株式会社にし、貿易再保険特会も移管する。理化学研究所など文部科学省所管の5つの研究機関を統合。国民生活センター、酒類総合研究所、教員研修センターは国に移管する。

 政府がまとめた独立行政法人と特別会計の改革案は身を切る行政改革に向けた一歩だ。だが、独法削減は4割にとどまり、目標の5割減は未達成。統廃合による歳出削減の規模も明示していない。消費増税の理解拡大につながるかは不透明だ。

 独法の半減は岡田克也副総理が昨年12月、民主党行革調査会長として掲げた目標だった。副総理は19日の記者会見で「単なる数合わせではなく中身を考えながら整理した」と説明した。

 都市再生機構(UR)と住宅金融支援機構は独法として存続させるかどうかで結論が出ず、来夏まで先送りした。内閣府に新設する有識者検討会で議論する。

 独法には年間3兆円あまりの国費が流れ、17の特会の歳出規模は180兆円に上る。民主党は09年衆院選マニフェスト(政権公約)でこれらの改革により子ども手当などの主要政策の財源を捻出するとしていた。しかし、藤村修官房長官は19日の記者会見で「今回は新たな財源を捻出することが目的ではない」とした。

 関連法案は通常国会に提出するが、来年度予算案が成立しなければ審議入りできない。政府が3月末に提出する消費増税関連法案にも影響を受けるとみられ、法案審議が円滑に進むかどうかは見通せない。

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