公立大連続セクハラ  抜本的な組織改革が必要だ 『宮崎日日新聞』社説2012年1月19日付

『宮崎日日新聞』社説2012年1月19日付

公立大連続セクハラ  抜本的な組織改革が必要だ

 なぜ、これほどまでにセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)が続くのか。宮崎公立大では今月明らかになった大学職員による女子大生らへのセクハラを含めると計4件に上る。

 大学によると、過去の反省から教職員を対象に年2回の研修を行うなど防止策を強化してきたという。しかし、ここまで連続すると、そうした表面的な対症療法はもはや通用しないと考えるべきだ。大学固有の問題が根底にあるととらえた上で、教職員と組織の在りようを含めて抜本的に改革する以外に再出発の道はないだろう。

■立ち位置ぶれる組織■

 40代の男性職員は未成年の女子学生に対して一人暮らしの自宅や学内で数回にわたってセクハラをしたとされる。学生が学業に専念するための環境づくりに心を砕かねばならない職員による破廉恥な行為に対して公立大は今回、懲戒解雇という厳しい処分を下した。

 だが、それ以前の対応には疑念を持たざるを得ない。公立大は過去、2002年1月と08年2月、10年12月の計3回、いずれも教員による女子学生への行為を「セクハラ」と認めているが、処分は停職や降格にとどまっている。学内には「懲罰が軽かったのではないか」という声が根強い。

 このうち2件は教員側が処分を不服として民事訴訟で係争中だが、大学が組織として「セクハラ」と正式に認めた以上は、被害者である女子学生の立場に立った対応をとるのは当然のことである。一度決定していながら立ち位置がぶれるような組織は構成員に軽んじられるものだ。このような状態に公立大があるのでは、という識者の指摘もある。

■危機意識不足も原因■

 少子化による大学全入時代に突入し、学生獲得にしのぎを削る私立大学に比べると、学費が比較的安価な公立大は受験生の「国公立大神話」にも支えられてきた。年間10億円余りの運営費に多額の公金が投入されて経営が安定している「親方日の丸」のような状態が、私立大とは対照的な危機意識不足を招いているとも考えられる。

 多額の公費によって支えられているがために今回の問題の公表も含めて組織運営の透明化が避けられない公立大は、むしろ私立大以上に教職員一人一人に高い倫理性と危機意識が求められることを肝に銘じなければならない。

 辞任の理由を公の場で一切説明することなく学長は突然職を辞した。4月までに決まる新学長には、従来の組織運営とは決別し、改革に大ナタを振るえる人材が選ばれるべきだ。

 地元の人材を地元で育てるという理念の下に約20年前開学して以来、本県にとって貴重な教育インフラであることに変わりはない。存続するためには、大学自体が生まれ変わらなければならないのだ。まずは問題が発生した原因の徹底検証から始めるべきだろう。

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