「地域が求める人材育てる」 大分大・北野新学長に聞く『朝日新聞』2011年12月30日付

『朝日新聞』2011年12月30日付

「地域が求める人材育てる」 大分大・北野新学長に聞く

 大分大学の新学長に、北野正剛氏(61)が今年10月1日付で就任した。就任会見で、「地域とともに大学の発展に全力を尽くし、存在感のある大学を目指す」と抱負を述べ、「改革を断行する」と強調。どんな大学を目指すのか。話を聞いた。

 ――どういったことに力を入れていきたいですか。

 色々とあるが、まずは組織改革と教育改革。これまで、組織としての意思決定に時間がかかっていた。幹部会議の数を減らすなど、短時間で意思決定できる方法を考えていきたい。大学も効率化が求められている。

 ――教育改革とは。

 学生に付加価値をつけ、地域に貢献できる、地域に求められる人材を育てることを目指す。これまで、おざなりとは言わないが、少し足りない部分があった。具体的には、講義やセミナーを充実させることで、実現したい。専門科目の勉強はもちろん当たり前。それに加え、一般社会人としての素養も重要視される時代だ。

 ――付加価値とは。

 私の指針は、「LEADS」。Look around(周りを見る)、Esteem(尊敬する)、Act now(ただちにやる)、Do the best(最善を尽くす)、Shympathize(共感する)の頭文字をとったもの。学生もそういった人間になってほしいと思っている。

 ――2004年に独立行政法人化して以降、大学自身が大学を経営しなければならなくなりました。

 独自の判断で経営ができるようになったということ。世の中、評価の時代。評価で外部資金も決まる。運営交付金が毎年段階的に削られており厳しい状況だが、今年度の日本学術振興会からの補助・助成金は3億568万円と、2006年度に比べ1億8千万円増となった。

 また、学内にベンチャー企業を立ち上げ、研究成果を社会に還元する形で発表し、資金を得ることもできる。学内のベンチャーは15社。旧帝大に比べるとまだまだだが、徐々に増やしていきたい。

 ――経営力を高めるには評価を上げていく必要があるのですね。

 大学の評価が上がれば入学希望者も増えてくる。優れた人材に入学してもらい、さらに付加価値をつけ、卒業させることが私たちの役目だと思っている。(聞き手・城真弓)

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 〈きたの・せいごう〉 和歌山県出身、九州大学大学院医学研究科を修了。1996年から大分医科大学(現・大分大学)医学部教授を務める。大分大医学部副学部長などを経て、今年10月1日付で学長に就任した。内視鏡を使った胃がん手術をいち早く始めたことでも知られる。

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