東北芸工大、法人統合断念 大学・保護者会、落胆を隠せず『河北新報』2011年12月23日付

『河北新報』2011年12月23日付

東北芸工大、法人統合断念 大学・保護者会、落胆を隠せず

 東北芸術工科大(山形市)が来年4月をめどに目指した姉妹校・京都造形芸術大(京都市)との法人統合は22日、計画表明から半年で断念に追い込まれた。「日本一の芸術系大学を目指す」と意気込んでいた東北芸術工科大の関係者は、「県民、市民の理解が得られなかった」と無念の表情を浮かべた。

 「東北芸工大の将来の発展のために必要な統合。説明が足りないのでなく、信用してもらえるかどうかだった」。東北芸術工科大の古沢茂堂法人副理事長は吉村美栄子知事、市川昭男市長との会談後、来春の統合断念に至った心境を淡々と語った。

 大学側は、少子化対策や東日本大震災の被災学生の支援などを統合の理由に挙げ、地元で説明を続けてきた。古沢氏は「来年以降に時期をずらして申請するのも無理がある。諦めるわけではないが、説明は今までのやりとりで尽くしたつもりだ」と消極的な考えを示した。

 同大保護者会の高野英昭会長(48)も「学生の教育環境の向上にもなるし、法人全体の力も大きくなる。メリットのある計画だったのに、残念だ」と落胆を隠さない。

 保護者会は8月に大学側から説明を受け、統合に賛成の立場を取っていた。高野会長は「今後時間を掛けて説明会を開催したりすれば、状況が変わる可能性は十分にある。署名活動など、保護者会として統合を支援する方法を引き続き検討したい」と話した。

◎主張認められた 反対派らは安堵

 東北芸術工科大が京都造形芸術大との来年4月の法人統合を断念したことを受け、反対していた市民団体「東北芸術工科大学を愛する会」のメンバーらは「われわれの主張が認められた」と安堵(あんど)の声を上げた。

 愛する会会長の早坂功・同大名誉教授は「(統合の断念は)当然の結論。私たちの意見が県民、市民の理解を得て、それが議会や知事、市長に通じたと思う」と話す。

 統合計画が明らかになって以降、県や市に慎重な対応を求める要望書を提出するなど、反対運動を展開してきた。「公設民営という大学の性質上、京都の私立大と合併すること自体が大きな間違い。今後再び統合の話が出れば、また反対運動をする」と言う。

 21日の全員協議会で反対意見が噴出し、「来年4月の統合は拙速」との結論を出した山形市議会の加藤孝議長は「市川昭男市長が市議会の意向に沿ったのは良かった。市民の理解が十分でないのに、統合を認めてもらえると考えたのは大学のおごりではないか」と感想を述べた。

 一方で、「市議会はあくまで来年4月の統合が拙速だと示した。本当に統合が必要なら4月以降でも進めることはできるはず」と、大学側の動向を見守る姿勢だ。

 

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