地方国立大学に対する公的投資の充実を求める声明 平成23年12月1日 国立大学法人和歌山大学 経営協議会外部委員(50音順)

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地方国立大学に対する公的投資の充実を求める声明 

平成23年12月1日 

              国立大学法人和歌山大学 経営協議会外部委員(50音順)

               赤 木  攻 (元大阪外国語大学長、現大阪外国語大学名誉教授)
               樫 畑 直 尚 (和歌山経済同友会代表幹事、株式会社南北代表取締役)
               松 原 敏 美 (弁 護 士)
               南   努 (前大阪府立大学長、現大阪府立産業技術総合研究所所長)
               山 口 裕 市 (前和歌山県教育委員会教育長)  

 私たち経営協議会外部委員は、和歌山大学の将来計画をはじめ、大学経営を審議する立場で国立大学の法人化以降、和歌山大学の経営に参画してきた。

 今般の政府の補正予算および来年度予算編成の動向をふまえるとき、地方国立大学の持続的発展に関して憂慮を持たざるをえない。 

 国づくりの根幹は教育にある。わが国が戦後の復旧、復興を世界に例を見ない速さで成し遂げ、それ以降、数々の困難に遭遇しながらも、現在の地位を保ち得ているのは、教育の充実、とりわけ高等教育の充実にあったことは明白である。逆に、ひとたび教育の成果が「負の方向」に向いたとき、国の崩壊が加速され、崩壊に気づいたときには、もはや元に戻すことは容易ではないこともまた真実である。 

 和歌山大学は、近年の国立大学法人運営費交付金の削減等の中においても、人件費等の経費削減に努力する一方、和歌山という地域の個性が求めるミッションに応えるため新たに事業を起こすなど、望まれる地方国立大学像を追求し積極的な経営努力を重ねてきている。その最中、運営費交付金の削減をはじめとする教育予算の大幅な縮減を国立大学に課すことは、まさに教育の舵を「負の方向」に切ることに他ならず、長い目で見たとき、国家的損失につながるのは免れないと深く憂慮し危惧するところである。 

 今回の削減によって私たちが特に懸念することは、高等教育現場での優秀な人材の国立大学離れ、さらには国際的な日本離れを引き起こすことである。大学教育は、優秀な指導者を得てこそ、充分な教育成果を上げられることは今さら述べるまでもないが、このような運営費削減を行えば、とくに地方大学は急速に疲弊し、人材を確保することがますます困難になることは火を見るより明らかである。 

 私たちは、今日のように財政状況が苦しいときにこそ、また日本の「あり方」が根底から問われている今だからこそ、創造性と行動力豊かな若者たちを育成するため、教育予算の充実をはかり、将来に備えるべきであると考える。

 最後に本声明を契機として、地方国立大学への理解が深まり、日本の高等教育発展にむけて国民、国会、政府のなかで対話と議論がより一層広がることを強く期待する。

 

 

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