横浜国大、中国・四川大と震災研究 年内に包括協定『日本経済新聞』関東甲信越版2011年12月8日付

『日本経済新聞』関東甲信越版2011年12月8日付

横浜国大、中国・四川大と震災研究 年内に包括協定

 横浜国立大学は12月中に中国四川省の四川大学と包括的な連携協定を締結する。横国大が積極的に取り組んでいる防災や災害復興に関する研究と、四川大学が持つ地震に関するデータなどを組み合わせ、災害に強いまちづくりなどの研究を進める。両大学の協力による研究成果を、東日本大震災からの復興にも役立てたい考えだ。

 四川大学は大きな被害を出した2008年の四川大地震の被災地にある。地震による建物の被害状況や復興過程などの調査を実施しており、同地震に関する豊富なデータを持つ。今回の連携は横国大の鈴木邦雄学長らが9月に四川大学を訪問し、東日本大震災の復興などに関して意見交換したことがきっかけとなった。

 年明けから都市工学や環境情報、建築学、経済学などの広範な分野で共同研究を始める。具体的には建造物の耐震化や復興に向けた都市計画などが研究対象となる見通し。横国大は将来的に、四川大学内に研究・教育拠点を開設することも視野に入れる。

 横国大は学部横断の研究拠点として設置している「安心・安全の科学研究教育センター」を中心に、防災分野の研究成果やノウハウを蓄積している。東日本大震災後には研究者らを被災地に派遣し、津波被害の実態調査を進めてきた。四川大のデータや研究成果を取り込むことで、「耐震性の高い建築構造の研究といった成果を期待する」(横国大)としている。

 四川大も横国大の防災分野の研究ノウハウを吸収する。中国では急速な都市化が進む一方で、建造物の耐震化などが課題となっており、共同研究の成果を中国の都市の防災に役立てる狙いもあるという。

 両大学は留学生の相互派遣も進める。中国政府は公費で大学生を国外の大学に留学させる政策を進めており、横国大は協定締結を契機に四川大学からの留学生の受け入れ態勢を整備する。四川大学は中国政府が予算の優先配分などで支援する「国家重点大学」に指定されている。

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