『中日新聞』長野版2011年12月3日付
「女性研究者支援室」を設置 環境整備、能力生かす
信州大は、育児や親の介護などを理由に女性研究者が大学から離れるのに歯止めを掛けるため、学内に「女性研究者支援室」を設置した。長野市の教育学部に11月下旬、まず長野分室を開設。時期は未定だが、松本市の本部にも窓口を設ける。女性が安心して研究に打ち込める環境を整備するとともに、学外へ男女共同参画の重要性を発信する狙いがある。
信州大には、教授から助手まで1047人の研究者が在籍し、うち女性は125人で11・9%にとどまる。比率は国立大86校のうち65位と低く、女性研究者を支援するための文部科学省の本年度事業に応募し、採択された。
支援対象は、妊娠しているか小学生までの子どもや要介護者を抱える女性研究者と、妻が学内外を問わず研究者である男性研究者。研究の負担を軽減するため、希望者にデータの入力や整理作業を行う大学院生のアシスタントをつける。
また、研究者を志望する各学部や大学院の女子学生・院生を対象に、専門スタッフが今後の進路の相談に応じる態勢も整え、目標実現を支援する。
大学の男女共同参画に対する取り組みや考え方は、ホームページなどを通じて発信していく。
これまで、女性研究者が大学を離れた後、育児などを終えて復帰しようとしても、日進月歩の研究の進展についていけず、あきらめるケースもあったという。支援室長に就任した松岡英子教育学部教授は「男女共同参画を組織的に推進し、誰もが能力を生かせることが目標」と話した。
(酒井博章)