FNNニュース配信記事2011年11月22日
「提言型政策仕分け」2日目 大学改革をめぐり、国際競争力の向上などを議論
「提言型政策仕分け」2日目、テーマは日本の競争力で、やり玉に挙がったのが科学技術と教育の分野だった。
日本の大学は国際化が遅れ、競争力が低下しているとの批判が噴出し、予算配分をめぐって、激しい火花を散らした。
海外からの留学生には、日本の大学はどう映っているのか。
21日夜、早稲田大学で行われた日本人学生と留学生によるディスカッションでは、次々と厳しい意見が飛び出した。
シリアの留学生は、「早稲田大学の学生たちは、さらに何か飲み会に興味があるとはわかって。授業とか真面目なところが終わったら、すごく何か学生のことを全部忘れてしまって」と話した。
イタリアの留学生は、「わたしにとっては、高校みたい」と語った。
日本の大学は、世界に通用するのか。
実はこのテーマは、2日目を迎えた「提言型政策仕分け」でも激論になった。
前回までの事業仕分けでは、張り出される結果も、廃止や何割縮減といったわかりやすい結果が張り出されていたが、今回は政策の方向性の提言ということで、長い文章が張り出されていた。
大学改革をめぐり、まず議論されたのが、国際競争力の向上だった。
仕分け人の玉木 雄一郎議員は、「日本の東京大学がことしは30位と、京都大学が52位と、100位以内に入っている日本の大学は、この2校のみ」と述べた。
冒頭で示されたのは、イギリスの教育専門誌がまとめた世界の大学ランキングで、100位以内に日本の大学はわずか2校だった。
この現実にどう向き合うのか。
予算担当(財務省)は、「国際的に見ても、国立大学生1人あたりの公財政支出は345万円と、米英独仏大きく上回るG5のトップであります。これでも教育研究費の質よりも、予算の高さを求めるのでしょうか」と語った。
参考人の京都大学・松本総長は、「日本の大学にとって一番不利で、何にとって、たとえば中国の大学が伸びましたが、増えたかといいますと、国際性。これは外国人教員の割合、財政が増えていると言いますが、ほとんど競争資金でございまして、研究のために使われていることがほとんどでございます。したがって、こういった面にお金を回す余裕は今はないと」と語った。
予算配分をめぐり、真っ向から対立する財務省と教育現場。
文科省側も「欧米の大学には、日本を大幅に上回る寄付金などがある」と財務省側に反論し、結局、競争力向上の具体的議論には至らなかった。
まとめられた提言について、仕分け人の玉木 雄一郎議員は、「具体的な達成目標と、達成時期ならびにその評価基準について明確化を図り、まずは各大学による自己改革によって、その実現を目指す」と述べ、具体策は示されなかった。
一方、当事者である学生たちのディスカッション。
日本の学生は、「留学生と触れ合ってみて感じたのは、何か日本の今、早稲田とかよりも、外国の方が何か授業とかテストとか、単位は厳しいのかなというふうに感じて」と話した。
サウジアラビアの留学生は、「わたしの大学は、早稲田大学と違って、何ていうのかな。毎日、宿題があるというわけではない。リポートも同じですね」と語った。
盛り上がったのは、宿題の量の話題だった。
イタリアの留学生は、「イタリアなら毎日、高校のときは、そういうリポートとかテストとか、毎日あるけど」と話した。
シリアの留学生は、「でも(宿題などは)毎日、出た方がいいんじゃないですか」と語った。
日本の大学の宿題量を長所と見る学生がいる一方で、欠点と見る学生もいた。
これが競争力につながるのかは、やはりわからない。
この「提言型政策仕分け」は、22日の3日目、公共事業や社会保障の在り方が議論される。