携帯管理、巡回増…入試「ネットカンニング」対策強化へ『朝日新聞』 2011年11月16日付

『朝日新聞』 2011年11月16日付

携帯管理、巡回増…入試「ネットカンニング」対策強化へ

 京都大の入試投稿事件で今春発覚した携帯電話による「ネットカンニング」。来春の入試に向け、京都府内の大学は監督者を増やしたり、携帯電話を厳重にしまわせたりと対策を強化している。同志社大は、不正をすれば併願した他学部も不合格にすると決めた。

 京都大(左京区)は15日、来春の入試では監督者を増やすなどの不正対策を発表した。記者会見した入試担当の淡路敏之副学長は「通信機器の急速な高度化ですべてに対応するのは難しい。受験生の良心に期待するが、不正行為が発覚した際には厳正に対処する」と話した。

 2学部の入試問題が携帯電話からインターネットの掲示板に投稿された同志社大(上京区)。来春の入試要項には、新たに不正行為に関する項目を設けた。試 験時間中に他人から答えを教わる▽携帯電話や携帯音楽プレーヤーを身につける▽携帯電話の音を鳴らすなど、不正行為や不正とみなす可能性のある行為を10 件列挙。不正があれば「試験の中止・退室を指示することがある」「併願した受験のすべてを無効とする」と明記した。

 また、試験教室の監督者は1人ずつ増員。携帯電話の取り扱いは、今春までは最初の試験科目を始める前に電源を切ってかばんにしまうよう注意していた。来春は試験科目ごとに机の上に出させ、一斉に電源を切ってからかばんにしまうよう細かく指示する。

 さらに、試験中に教室を出る場合は受験番号や退出・入室時間を記録する。入学課の担当者は「性善説に立ちたいが、実際に不正があったのでこのような措置をとらざるを得ない」。

 立命館大(北区)は、不正発覚後の3月入試から、教室から出る際に受験番号を控えるなどの対策を加えた。携帯電話は数年前から、電源を切ったことを監督者が確認してかばんにしまわせており、不正が発覚した場合は他学部の受験も無効としている。

 佛教大(同)は、試験教室内の巡回を強化する。靴音が受験生の妨げにならないよう以前は控えていた。だが、不正発覚後の入試からは監督者の靴底をゴム製 にし、数人いる監督者のうち1人は見回るようにした。今月の推薦入試からは監督者も増員。大教室の使用は極力控え、目が行き届きやすくするという。

 龍谷大(伏見区)は、教室内で監督者が互いの立ち位置を確認しあい、それぞれ巡回する範囲も決める。花園大(中京区)は今月の推薦入試から携帯電話への 対応を強化する。入試課の担当者は「受験生を信じる方向で考えるべきだが、やらざるを得ない」と話している。(筒井次郎)

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