東北大次期総長に里見氏 資金難、経営手腕に期待『河北新報』2011年11月3日付

『河北新報』2011年11月3日付

東北大次期総長に里見氏 資金難、経営手腕に期待 

 来年3月末に任期満了となる東北大の井上明久総長の後任候補に2日、東北大病院長の里見進副学長(63)が選出された。次期総長には東日本大震災からの大学と被災地それぞれの復興で、リーダーシップが求められる。次期総長候補を発表した総長選考会議は「急いで震災対応に手を付けてほしい」と、病院経営の立て直しに尽力した里見氏に期待する。(1面に関連記事)

 東北大の震災による被害額は研究施設や実験機器など約800億円に上る。建物の復旧は国が助成する見通しだが、完全復旧には多額の費用がかかり、研究の遅れなども懸念される。資金不足で青葉山新キャンパス構想も足踏みしている。選考会議の岸輝雄議長(独立行政法人物質・材料研究機構顧問)も「財政が最大の課題」と指摘する。

 里見氏は病院長に就いた2004年以降、国からの運営交付金が削減される中で約4億円の赤字を解消した。岸氏は「必要なものとそうでないものを取捨選択する強い意志を持っている」と経営手腕を評価した。

 震災からの地域の復興も最優先課題。里見氏は記者会見で、地域医療の再構築をはじめ、大学の復興支援として進行中の七つのプロジェクトを、さらに後押しすることを強調。開学以来の「研究第一主義」「実学尊重」の理念を踏襲しつつ、最先端の知見を地域に還元する姿勢を示した。

 里見氏は人材育成、国際化、情報発信力などの点で「東北大は求められている役割をまだ十分に果たせていない」と分析。「東北、地域の復興を進めるプロジェクトは国際的にも注目される。研究や教育の国際化にもつなげ、活力のある大学を目指したい」と話す。

 

2011年11月03日木曜日

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