『毎日新聞』2011年10月19日付
東工大:学長候補、また不正経理か 研究費127万円 調査委設置
東京工業大の次期学長に内定している岡崎健工学部長(62)が研究費を不正利用していた疑いがあるとして、同大が調査委員会を設置していたことが18日、わかった。同大では今年7月、任期満了で次期学長に内定していた元副学長が自身の不正経理の責任をとって辞退、岡崎氏が選任された。任期は今月24日から4年間。
毎日新聞が入手した調査委の報告書によると、岡崎氏は05年3月に購入したパソコン1台(約127万4000円)について、業者への聞き取りなどから新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託研究費と国の科学研究費補助金(科研費)など複数の研究費から拠出していたと判明。複数の研究費で一つの物品を購入することは「合算行為」として認められていない。大学には業者から納品書が届いたがパソコンは納品されず、その業者はパソコン代金とほぼ同額で3台のパソコンを購入した。
報告書は「預け金行為として、架空請求によって消耗品を購入したように装い、大学から受託研究費を支払わせ、業者に預け金として管理させていた」としている。預け金は、架空請求書などを業者に作らせて入金し、プールする行為で、国の科研費で預け金が発覚すれば、4年間応募資格を失う。
調査委は9月16日に発足した。岡崎氏は4日後の20日に学内の選考会議で次期学長に選ばれた。岡崎氏は毎日新聞の取材に「事実ではない」と否定している。【神保圭作】