内定解禁も終わらぬ就活 大学、学生支援に全力『日本経済新聞』2011年10月1日付

『日本経済新聞』2011年10月1日付

内定解禁も終わらぬ就活 大学、学生支援に全力

説明会増やし、呼び出し面談も

 明治大学や青山学院大学などが来春卒業予定の4年生に対する就職支援を強化する。新卒者らに対する採用内定が1日に解禁され主要企業は順次内定式を開くが、就職先が決まっていない学生も目立つためだ。採用意欲のある企業を紹介する説明会の回数増や時期の前倒し、個別相談の徹底などを計画している。今年は東日本大震災などの影響で企業の選考スケジュールが分散・長期化する傾向にあり、大学は中堅・中小企業を軸に学生の内定獲得を後押しする。

 明治大は学内の企業説明会を10月15日と11月29日に開く。昨年は10月の1回だけだった。青山学院大や日本大学、千葉商科大学も10月から年明けにかけて追加の企業説明会を開催することを決めた。法政大学は従来より2カ月早めて11月に開く。開催時期が遅いとより不利になるためで、20社程度の参加を見込む。

 東京理科大学は、内定をもらえていない学生を呼び出し個別面談する。これまで自発的に相談に訪れた学生を支援してきたが、「相談に来ない学生への支援こそ必要」(就職課)と判断した。

 一橋大学は外国人留学生を対象とした初の学内企業説明会を10月12日に開催。100人前後に楽天など約10社を紹介する。同大の内定率は日本人学生で約95%だが留学生は約30%。これを約60%に高めるのが目標。

 就職情報サービスのマイナビ(東京・千代田)の調べでは、2012年卒業予定で企業の内々定を得ていた学生の割合は8月末時点で58.5%。人気が高い大手企業の多くが震災で選考時期を遅らせるなどで4~5月の水準は前年より低かったが、「大手企業の内々定が一巡し、8月には前年と同程度に落ちついた」(就職情報サイト「マイナビ」の望月一志編集長)との見方が多い。

 ただ大卒予定者の10月時点の内定率が前年並み(厚生労働省などの調べで57.6%)だった場合でも、直近のピークである08年(同69.9%)の水準には及ばず、就職活動が厳しい情勢に変わりはない。

 それでもチャンスはある。「大手のスケジュールずれ込みの影響を受けた中堅・中小を軸に、エントリーを受け付けたり説明会を告知したりする企業数が例年より多い」(望月氏)からだ。日本経済新聞社が6月にまとめた調査でも12年春の大卒採用計画数は11年春比で13.7%増。定年後も継続雇用してきた団塊世代の大量退職への備えなどから、企業の採用意欲は旺盛だ。

 行政の後押しもある。リクルートは経済産業省などから受託し、中小企業と新卒者を結びつける事業を昨年度から展開。今年度も全国の主要都市で9月以降に合同企業説明会を順次開いており、1日は都内で約120社が参加して開催。昨年度は10年7月~11年5月に約5600社が申し込み、約2600人の学生が内定を得たという。

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