公務員制度改革進まず 人件費2割減は達成困難『日本経済新聞』2011年9月23日付

『日本経済新聞』2011年9月23日付

公務員制度改革進まず 人件費2割減は達成困難

 民主党の看板政策である国家公務員制度改革が停滞している。政府は公務員給与の引き下げ法案を前国会に提出したが審議入りできないまま継続審議となった。東日本大震災の影響もあって人員削減の計画づくりも断念。民主党が2009年衆院選のマニフェスト(政権公約)に掲げた「国家公務員総人件費の2割削減」という目標の達成は極めて困難な情勢だ。

 民主党は国家公務員の総人件費を2割削れば1.1兆円の新たな財源が生まれるなどと訴えてきた。だが、これまでに実現したのは、人事院の勧告に基づく約4%の給与引き下げや採用抑制による人員削減などにとどまり「大なた」はふるえていない。

 打開策として給与やボーナスなどを年収ベースで平均約8%引き下げる法案をまとめたが、国会審議の見通しはたたない。法案をまとめる過程で、民主党の支持団体である労働組合に配慮し、給与引き下げ法案と労働基本権を付与する法案の同時成立を約束したためだ。

 労組が求める労働基本権の一部付与には、自民党など野党に反対論がある。法案修正に向けた協議もまとまる気配がなく、給与下げ法案と同時に塩漬け状態となっている。

 人員削減も進んでいない。政府は当初、今年度中に新たな「純減計画」をつくる予定だったが、震災で中断。人員の大幅削減に期待がかかる中央省庁の出先機関の地方移管も作業は遅れている。

 仮に給与の引き下げが実現しても、これまでの採用抑制などと合わせた人件費削減効果は、衆院選で約束した1.1兆円からみれば半分程度にとどまる。

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