愛媛大、企業に若手研究者派遣 農学系など3カ月限定『日本経済新聞』2011年9月16日付

『日本経済新聞』2011年9月16日付

愛媛大、企業に若手研究者派遣 農学系など3カ月限定

 愛媛大学は若手の研究者を四国4県の企業に派遣する取り組みを始める。農業などに関する高度な知識を、食品メーカーなどの企業の研究開発や経営戦略の立案に生かしてもらう。文部科学省の補助事業で、企業は研究者の給料や関連費用を負担する必要はない。研究者の派遣を通じて企業との人的な交流を深め、研究者の将来の就職につなげる狙いもある。

 愛媛大の博士課程に在籍する学生か課程修了から5年以内の学位取得者(ポストドクター=ポスドク)を派遣する。期間は3カ月だが、企業側の事情に応じて変更する。

 愛媛大はこのほど、四国の大学で初めて、同事業を推進する「地域コーディネーター」を大学院の農学研究科に配置した。山本徹客員教授が務めており、4県の企業に事業の説明を始めた。

 愛媛大の地域コーディネーターらが企業と研究者の間に立ち、企業のニーズと研究者の能力を考慮して派遣先を決める。

 派遣先は農学関連の知識が生かせる食品や種苗メーカーのほか、「ベンチャーや新事業を立ち上げたい中小など幅広い企業を想定している」(山本客員教授)という。

 同事業は東京農工大学が全国各地の農学系大学院と連携し2008年から取り組んでいる、博士課程学生とポスドクを対象とするインターンシップ事業の一環だ。

 企業は農学研究科のほか東京農工大と連携している各地の農学系大学院(一部医学系なども含む)の在籍学生・ポスドクの派遣も受けられる。

 若手の研究者は大学で職を得る場合もあるが、多くは企業に就職して研究開発部門などで活躍することが期待されている。愛媛大は研究者の将来の就職も視野に入れ、研究者個人の専門分野に関連する企業との接点を増やしたい考えだ。

 企業側は大学の研究室と研究開発面などで新たな関係を構築しやすいなどのメリットがある。

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