(7)読者からの反響…「過保護」「低姿勢」に疑問『読売新聞』2011年9月10日

『読売新聞』2011年9月10日

(7)読者からの反響…「過保護」「低姿勢」に疑問

 少子化や全入時代を背景に、様変わりした大学と保護者の関係を追ってきた。読者から「過保護な親に驚いた」という感想が届く一方、「大学のサービス不足」との意見も寄せられた。最終回は、その一部を紹介しながら、大学と保護者のあるべき関係を探る。

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  理不尽な要求をする親に怒りを感じつつ、大学側の「低姿勢」にも疑問を抱くのは東京都の主婦竹之内明美さん(50)。「大学は教育のプロ。親を教育する気持ちで、常識にはずれたものは毅然きぜんとした態度で対応すべきではないか。大学側が足並みそろえて行えば、理不尽で大人になれない親も自分の愚かさに気づくと思う」とメール。

  息子が都会の大学を目指しているという岩手県の母親(44)は、「私が大学生の頃は『親に高い学費を出してもらっているのだからしっかりしなくては』と思っていた」。息子には「高校卒業したら自立を考えて」と言っているが、「子どもが自宅から大学に通っているなら、親は構ってあげられる。それがうらやましくもある」と、ファクスで微妙な親心を明かす。

  他方、「過保護批判」に疑問を投げかける声もあった。

  大学3年の娘を持つ千葉県の中村あづささん(48)は「すべて理不尽クレームなのか。千葉大の女子学生がアパートで殺害された事件は記憶に新しい。大学側からサークルの幹部学生に、帰宅時間に留意する働きかけに何の理不尽があるだろう。何事も程度問題。行き過ぎ保護者も確かにいるが、大学側の配慮不足ともとれる」とメールを寄せた。

  発達障害学生らの就職支援に奔走する東京家政学院大学の山田順子准教授(58)からは「発達障害やその傾向のある学生には、特性を理解し、支援してくれる伴走者が必要と感じる場面が多い。保護者と大学の連携が必要な場合もあることを知ってもらいたい」とメールがあった。

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  様々な主張が飛び交うこと自体、大学と保護者の関係がまだ発展途上にある証拠だ。ただ、肝心なのは、その関係が学生の成長につながっているかどうかだろう。

  自立するまで時間がかかるようになった今の学生に、大学と親が協力して何ができるのか。議論が進むことを期待したい。(石塚公康)

  メモ ベネッセ教育研究開発センターが2008年に実施した大学生の意識調査によると、「保護者のアドバイスや意見に従う」は40.1%、「困ったことがあると保護者が助けてくれる」は41.8%、「お金が必要になったら保護者が援助してくれる」は58.8%あった。

 

 

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