『信濃毎日新聞』2011年8月4日付
信大医学部予防に力 大学院博士課程を改組
信大医学部(松本市)は2012年度、大学院医学系研究科の博士課程を、従来の3専攻から2専攻に改組する。加齢適応医科学系専攻を「疾患予防医科学系専攻」と改称し、予防医学に特化した研究を展開。さらに臓器移植細胞工学医科学系専攻は解消し、予防医学領域を含む研究者を疾患予防医科学系専攻に合流させるなど選択と集中を図る。
臓器移植や人工臓器を研究する臓器移植細胞工学医科学系専攻(5分野)は2000年に開設。当時は先進的だった肝移植が今は一般医療になるなど「役割は一段落した」(福嶋義光医学部長)として解消する。うち発生再生医学と分子病理学の2分野は、予防医学領域を含んでおり、疾患予防医科学系専攻に移る。
一方、循環器病態学、免疫制御学、感染防御学の3分野は特定領域にとらわれず幅広く研究を行うため、現在の医学系専攻に移行。循環器病態学は「循環器内科学」、発生再生医学は「循環病態学」に改称する。加齢適応医科学系専攻の加齢病態制御学も医学系専攻に移し、「糖尿病・内分泌代謝内科学」と改める。
博士課程は12年度の改組に合わせ、定員を現行72人から48人に減らし、院生1人を臨床系と基礎系の2人の教官が指導する「2人教官制」を導入、より密な指導を行う予定。福嶋学部長は「医療の究極の目標である『予防』の研究に力を入れるとともに、より幅広い研究を進められる態勢を整えた」としている。