『信濃毎日新聞』2011年8月3日付
医療産業県内に集積 信大や県の産学官連携
信大(本部・松本市)、県経営者協会、県テクノ財団、県、八十二銀行(いずれも長野市)は2日、共同提案した産学官の連携プロジェクトが技術革新などを支援する国の補助事業「地域イノベーション戦略推進地域」に採択されたのを受けて信大松本キャンパスで会見を開き、内容を説明した。信大の研究成果と県内産業の超精密技術を結び付け、ハードとソフト両面で企業参入を支援しながら、市場ニーズを踏まえた新しい医療機器の開発を目指す。
採択された事業は「次世代産業の核となるスーパーモジュール(超高性能部品)供給拠点」。ナノカーボンなど信大の素材研究の成果を医療機器の製品や部品作りに生かす「研究シーズ(種)」と、市場のニーズを把握し県内産業の超精密技術を活用して製品化する「市場ニーズ」の両面を基にしたものづくりを進める。最終的には県内を医療関連産業集積地にする構想だ。
具体的には、経産省の補助事業で信大病院の隣接地に研究棟「信州地域技術メディカル展開センター(仮称)」を8億8千万円(うち国補助は3分の2)かけて建設。同センターを拠点に信大と企業が共同で医療機器を開発する。県内企業から信大に研究者を招いたり、医工連携に精通したコーディネーターを配置したりといった四つのプログラムを通して、産業界の参入や製品化を後押しする。
信大の山沢清人学長は会見で「信大の素材研究と県内企業の超精密技術を融合し、新製品の開発や県全体の活性化に役立てたい」と述べた。