神戸大、東北大と復興支援で連携 災害ロボなど共同研究『日本経済新聞』2011年8月4日付 

『日本経済新聞』2011年8月4日付

神戸大、東北大と復興支援で連携 災害ロボなど共同研究

 神戸大学は3日、東北大学と大規模災害の復興支援など幅広い分野で共同研究を進める考えを明らかにした。がれきを撤去する災害ロボットなど復興を支援する先端研究、産業復興策や防災対策が柱で、今後、学生や教職員の交流を進める考え。阪神大震災の経験を踏まえた研究実績や人材を生かす。両大学が中心となり、関西と東北の他の大学とも連携の輪を拡大する考えだ。

 神戸大が神戸市で開いた東日本大震災の復興を話し合うシンポジウムで、福田秀樹学長が明らかにした。パネル討論に参加した東北大の井上明久総長もこれに同意した。

 パネル討論の中で、福田学長は東京電力の福島第1原子力発電所での復旧作業が外国製の災害ロボットなどに依存していると指摘。「両大学の(理工系学部が研究している)技術を投入し、国産の力で復興の実績を残せる」と話し、ロボット開発に意欲を示した。

 また文化系学部を中心に、被災地の自治体や産業の復興策も共同で研究する方針も示した。教員や学生を東北の被災地に積極的に派遣する。神戸大は阪神大震災の翌年の1996年に「都市安全研究センター」を設立し、防災や減災の研究実績があり、これを共同研究にも生かす。

 東北大は東日本大震災の後、災害復興を全学的に研究する「災害復興新生研究機構」を創設した。井上総長は「東北大としても具体的な連携のあり方を詰めたい。時間との勝負だ」と、神戸大と早期に連携する考えを示した。

 シンポジウムには復興構想会議の五百旗頭真議長(神戸大名誉教授)も参加した。「阪神大震災の復興で生まれた神戸の知恵を生かすことが重要。近畿を中心とする関西広域連合とも結んでいくとよいのではないか」と発言し、両大学の連携にエールを送った。

 神戸大は共同研究の枠を拡大するため、京都大学や大阪大学など関西の他の大学にも連携を呼び掛ける。兵庫県など阪神大震災を経験した自治体の協力も求める。

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