『毎日新聞』福島版2011年7月21日付
東日本大震災:福島大と日本原研が連携協定 環境、土壌など研究
◇長崎大、広島大とも予定 放射線対策・教育を本格化
福島第1原発事故からの復興に向け、福島大(福島市)は20日、日本原子力研究開発機構(茨城県東海村)と連携協力協定を結んだ。学内に共同研究室を開設し、環境への影響評価や土壌改良などを共同で進める。28日には被ばく医療の研究実績がある長崎大(長崎市)、広島大(東広島市)とも同様の協定を結ぶ予定で、放射線対策の研究・教育に本格的に乗り出す。
福島大は1949年、人文社会学系の大学として創設、教育や自治体支援などのノウハウがある。04年に理工学類を開設して総合大学となったが、放射線研究の専門家はいない。震災を受け、学内に原子力災害などの総合研究拠点「うつくしまふくしま未来支援センター」を設置。同機構などとの共同研究も同センターを中心に行う。
協定内容は、放射能汚染と被ばくに関する知識の普及・啓発▽生態系の変化に関する調査研究▽放射性物質の除去・除染▽環境修復や除染技術の継続的発展のための人材育成--など。当面は小中学校の除染や環境調査を進め、将来的に人材交流も深めていく。
入戸野(にっとの)修学長は締結式で「大学として地元の復興に長期間携わることになる。放射線関連は福島大に欠けていた分野だが、連携して世界の災害科学の拠点としたい」。同機構の鈴木篤之理事長は「原子力研究機関で働く者として、原発事故は大変申し訳ない。長い年月を要することになるが、地元の大学と協力して地に足が着いた活動をしたい」と話した。【関雄輔】