『読売新聞』2011年7月21日付
留学生に説明会…福島原発事故で名古屋大
東京電力福島第一原子力発電所の事故について、外国人留学生を対象にした説明会が20日、名古屋大学(愛知県名古屋市千種区)で開かれた。
留学生らに事故への不安が広がっており、帰国や留学計画の変更などが相次いだことがきっかけで企画された。説明会には約30人が参加し、健康被害や食物汚染の有無について熱心に尋ねていた。
説明会では、同大の山本章夫教授(原子力工学)が、同原発の現状について「原子炉自体は大きく損傷しておらず、放射性物質は事故直後に比べて減少している。名古屋大の観測では、東日本大震災の直後から放射線の量は通常のレベルが続いている」と解説。高濃度の放射性セシウムを含む稲わらが肉牛に与えられていた問題については、「政府の制限値を超える肉があったが、すぐに健康に影響するものではない」と述べた。
留学生からは「生後9か月の子どもを連れて留学しているが、健康上の影響はないか」「再び地震が発生した時、運転を終えた原発は大丈夫か」「福島第一原発の解体には何年かかるか」など、切実な質問が寄せられた。
工学研究科の博士課程に在籍しているベトナム出身のトラン・ホアキムさん(34)は「ベトナムでは初めて原発が建設される予定なので、すごく不安。今後、日本政府がどんな対応をとるか注意してみていきたい」と語った。同大国際学生交流課の出口秀典課長は「出身国にいる留学生の家族が心配しているケースが多いので、名古屋ではみんな普通に生活していることを知らせてほしい」と話している。