電波観測通信施設が完成 和歌山大『紀伊民報』2011年7月9日付

『紀伊民報』2011年7月9日付

電波観測通信施設が完成 和歌山大

 和歌山大学で7日、直径12メートルのパラボラアンテナを備えた電波観測通信施設の落成式が開かれた。アンテナは大学のキャンパス内に設置されたものとしては国内最大級で、今後、人工衛星との通信や電波を使った天文観測に活用される。

 和歌山大学は、電波を使って観測する電波天文学に取り組んでおり、これまでにも直径2メートルのパラボラアンテナなどを活用してきた。昨年度には文部科学省の「超小型衛星研究開発事業」に代表機関として選ばれ、他大学とともに人工衛星の開発など研究に取り組んでいる。

 今回設置したアンテナは、この開発事業の一環で、今後打ち上げる超小型の人工衛星の地上局としての通信機能を持っている。アンテナの事業費は約3千万円。従来のアンテナに比べて約36倍の受信感度になるという。

 超小型衛星の開発事業は、地球上のより詳しい情報を得られるようにする。将来的に森林火災を感知したり、災害時の被災地情報の取得に役立てたりする実用化を目標にしている。

 小型衛星は2013年度に打ち上げる予定で、今後は完成したアンテナを使い、衛星通信に必要な技術の習得などに取り組む。アンテナは電波を使った天文観測もできるため、銀河の形成や分布などの分析研究にも活用される。

 落成式で山本健慈学長は「宇宙の分野だけでなく、防災や減災にも役立てたい。人類の安全と平和に寄与することを願って運用していきたい」とあいさつ。式典では実際にアンテナを稼働して天文観測も行い、電波の波形を画面に映し出して、出席者に披露した。

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